F1第3戦中国GP、予選後の上海インターナショナル・サーキットのパドックは、驚きと興奮に包まれていた。2年連続チャンピオンのハミルトンが、まさかのQ1脱落となったからである。ハミルトンのQ1落ちは2014年のハンガリーGP以来のことで、理由も同じパワーユニットのトラブル。また、ハミルトンは中国GPで2013年から3シーズン連続ポールポジションを獲得していたが、その記録も途切れることになった。
MGU-Hにトラブルが見つかったハミルトンのパワーユニットは、すでに車体から切り離され、今季2基目が搭載されている。タイムを出せず予選は通過していないが、フリー走行のタイムによってレースへの参加が認められた。すでにギヤボックスを交換しているハミルトンは、最後尾グリッドからスタートする予定だ。
積極的にオーバーテイクをしかけるために、思い切ってセットアップを変える作戦を採ることもできるが、その場合はピットレーンからスタートしなければならない。
「ピットレーンからスタートすると、信号を操作する時間にもよるけど、いきなり最後尾から8秒遅れになる。ここは1コーナーがそんなに危険じゃないし、オーバーテイクも可能だから、グリッドからスタートするほうを選んだ」と、ハミルトン。
ちなみに2014年ハンガリーGPのハミルトンは、ピットレーンからスタートしてセーフティカー導入にも助けられて、3位表彰台を獲得している。しかし「ここは確かに抜けるコースだけど、タイヤはもたないから、ハンガリーのように簡単にはいかないだろう」と、厳しい戦いを覚悟している。
不運続きのチームメイトとは対照的に、ポールポジションを獲得したニコ・ロズベルグは「ルイスとポールポジション争いができなくて残念」と余裕のコメント。しかも、自分以外のトップ10ドライバーが全員、デグラデーションが激しいスーパーソフトタイヤでスタートするのに対して、ロズベルグはQ2をソフトタイヤで通過したので、デグラデーションが少ないタイヤで先頭からスタートできるというアドバンテージを握っている。
ただし、フロントロウに並ぶレッドブルのダニエル・リカルドは「ニコ(ロズベルグ)がソフトで、僕らがスーパーソフトなのはラッキー」と語っており、どちらの戦略が功を奏するのかは、わからない。
フェラーリのセバスチャン・ベッテルは、Q3で「スーパーソフトを1セットセーブするためにアタックを1回にした」と予選後に語っており、必ずしもスーパーソフトが使いものにならないタイヤとは言い切れないのだ。
サーキットは予選後に再び激しい雨に見舞われ、コースのラバーグリップが洗い流されてしまったことが、レースでのタイヤ戦略に影響を与える可能性もある。
なお、決勝日の天気予報は、昼過ぎまでは晴れだが、その後は雲が広がりはじめ、夕方には曇り空になるというもの。ただし、雨は降らないと予想されている。ロズベルグの連勝で始まった2016年シーズン、3戦目はどんな戦いが待っているのだろうか。レースは予選よりも1時間早い、現地時間の午後2時(日本時間15時)にスタートが切られる。