F1中国GPで行われたFIA公式会見。各チームの首脳陣がそろう金曜日の模様から、聞き逃せない発言をピックアップして、お届けする。
──2017年のテクニカルレギュレーションについて議論の進行状況は、どうですか。
クリスチャン・ホーナー(レッドブル):最終段階に入っている。前回のストラテジーグループの会合で基本的には合意しているから、あとは所定の手続きを経て、今月末までにシャシーに関するレギュレーションをまとめるだけだ。いずれにしても、すでにほとんどのチームは現在の案に基いて来年のクルマのことを考えはじめていると思う。
エリック・ブーリエ(マクラーレン):新しいパッケージでクルマを作るのはエキサイティングな仕事だ。現状よりも速くなり、結果としてドライバーたちがドライビングを楽しめるようになると思う。それはドライバーだけでなく、ファンにとってもうれしいことだろう。
マウリツィオ・アリバベーネ(フェラーリ):来年はクルマの外観が変わるし、タイヤも少し太くなる。もっとオーバーテイクを増やしたければ、コースの幅を広げればいい。まあ、それは冗談だが……。新しいレギュレーションは、より見ごたえのあるショーを提供し、もっとF1を面白いものにする方向へ向かっていると思う。
──ようこそ、ハセガワさん。この会見は初めてですね。2018年からのパワーユニットのレギュレーションについて、ホンダとしてはどのように考えていますか?
長谷川祐介(ホンダ):コスト削減や供給義務については、もう少し話し合いが必要だろう。エンジン・マニュファクチャラーの立場、あるいはF1コミュニティの一員としての立場から言えば、ホンダはファンとコミュニティに対する、ある種の責任を負っているのだから、基本的にレギュレーションの変更には賛成している。
──2018年からの供給義務に関する話は、パワーユニットのマニュファクチャラーにとって受け入れられることであり、実現可能なことでしょうか。
トト・ウォルフ(メルセデス):私たちに与えられたタスクは、すべてのチームが必ずエンジンを手に入れることができるようなソリューションを考えだすことだ。それについては、どのマニュファクチャラーも理解を示し、実現しようと努めている。多くのチームにとって重要な問題であるコスト削減に関しては、包括協定のような形でカバーすることを考えている。
──エリックへの質問です。フェルナンド(アロンソ)が正式に出場許可を得るまでのプロセスについて、そしてバーレーンでのストフェル(バンドーン)の仕事ぶりを、どう見たかについて聞かせてください。
ブーリエ:フェルナンドは何の問題もなくドライブした。ご存知のように、FIAはフリー走行1回目の終了後に、あらためてメディカルチェックを受けることを要求したが、ごく形式的なことだった。いずれにしても彼は週末を迎えた時点で体調は万全だと感じていたし、この問題は終わったことと考えている。ストフェルについては、バーレーンで本当に良い仕事をしてくれたというのが私たちの考えだ。レースの週末になってから、急に呼びだされてF1に乗るというのは決して簡単なことではない。彼が落ち着いて素晴らしい仕事をしたことに、誰もが感銘を受けた。チームにとって将来の有力なドライバー候補だ。
──ハセガワさん、昨年と比べるとマクラーレンのパフォーマンスは、ある程度まで向上しました。今季は、どんな成績を期待していますか。
長谷川:具体的な数字や順位を挙げるのは時期尚早だと思う。現在のポジションに満足していないことは言うまでもないが、着実なステップアップを重ねることでチームとして、さらに進歩が可能なのは確かだ。それは喜ぶべきことだろう。シャシーの進化を期待できるのはもちろんだが、私たちもパワーユニットの改良によって貢献できると思う。いまは私たちが段階的に進歩していけることを示すのが重要であり、それが当面の目標でもある。
──マウリツィオ、フェラーリは金曜日の午後のセッションをワンツーで終えました。オーストラリアとバーレーンでは、いずれも1台がメカニカルトラブルでリタイアしましたが、すでに問題は解決されたのでしょうか。
アリバベーネ:オーストラリアとバーレーンで起きた問題については、もう十分に説明したと思うし、これ以上つけくわえることもない。すべてを正直に言ったつもりだ。いまのところ好調だが、残念ながら金曜のタイムでグリッドが決まるわけではなく、選手権ポイントももらえない。今年もメルセデスが最強のチームであることは確かで、彼らに勝つには、彼ら以上の努力をして、実力で上回るしかない。私たちとしては好成績を目指してベストを尽くすだけだ。
──トト、このところニコ(ロズベルグ)がすばらしいパフォーマンスを見せています。彼は昨年までとは何かが違うドライバーになったのでしょうか。
ウォルフ:昨年ルイスが連勝しているときには「ニコは、もう立ち直れないのか?」と言われ、終盤にニコが連勝したときには「このまま勢いに乗っていくのか?」と言われた。だがニコは、それほど好不調の波が大きいタイプではない。彼だけではなくルイス(ハミルトン)も、きわめて高いレベルのパフォーマンスを発揮している。彼らほどのドライバーになれば、目先の成績の良し悪しで動揺したりはしない。ニコは人間としてもドライバーとしても成長を続けているように見える。しかし、私が知っている過去2年間の彼と比べて、何かが大きく変わったとは思わない。
──クリスチャン、まだメルセデスとフェラーリとの差は大きいとはいえ、レッドブルもオーストラリア、バーレーンと2戦連続で4位に入っています。シャシーだけではなくパワーユニットも含めて、かなり進歩したと感じていますか。
ホーナー:過去2戦で、私たちのクルマが3番目に速かったのは間違いないと思う。モントリオールあたりでパワーユニットのアップグレードがあるはずだから、シーズン後半戦の特定のサーキットでは、上の2チームの「シャツの裾」くらいは、つかみたいところだ。ただ、まだギャップはかなり大きいので、本当に同じレベルで勝負ができるようになるのは、やはり来シーズン以降になるだろう。