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卒業発表のNMB48渡辺美優紀、グループに残した功績と今後への期待

2016年04月14日 16:01  リアルサウンド

リアルサウンド

NMB48『甘噛み姫(Type-C)』

 NMB48の渡辺美優紀が4月13日、大阪・NMB48劇場で行なったチームB2の公演で、同グループからの卒業を発表した。


(参考:NMB48・渡辺美優紀の恋愛観にクリス松村ら驚く「私は浮気されても引かない」


 渡辺は山本彩とともに、NMB48創設時からセンターとして活躍した、グループの中心的メンバー。AKB48やSKE48との兼任活動を行なっていたほか、個人でも『AKB48グループ じゃんけん大会 2014~拳で勝ち取れ! 1/300ソロデビュー争奪戦~』の優勝者として『やさしくするよりキスをして』でソロデビューしたり、モデルとして各メディアに出演するなど、グループ在籍時から幅広い活動を展開してきた。


 渡辺がNMB48の活動期間を通じて、グループにもたらしたものは何だったのか。『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』の著者であるライターの香月孝史氏は、彼女の特徴を「自己プロデュース力の高さ」だと分析する。


「渡辺は山本とともに、全国区のメンバーとしてグループの知名度上昇に貢献してきましたが、硬派なリーダーシップを発揮する山本と対照的に、渡辺は“釣り師”という呼称でも言い表される小悪魔的なキャラクターで支持を獲得してきました。ただ、そうしたキャラクターが彼女の主体的な力強さと結びついて現れていたのが、渡辺美優紀という人の特徴だと思います。近年のアイドルシーンは、アイドル個々人がいかに他者との差異化をはかるかという自己プロデュース力の高さが、当人の“主体性”の強さとして評価され、ブレイクの要素として重要視されています。時にそれは、アイドルのパブリックイメージに対するカウンター的要素を打ち出すことが“主体性”であると認識されがちです。しかし渡辺の場合、一見パブリックイメージに沿った王道的なアイドル像を選びとり、そのアイドル像を体現しようとするストイックな姿勢に“主体性”が見出されていました。また、キャリアを重ねるにつれて、自由度の高い言動の中に、アイドルというものについての示唆的な言葉や振る舞いを多く見せ、それもまた彼女への支持につながっていました。その意味ではAKB48の小嶋陽菜とも通じる力強さを持ち、性別を問わず敬意を向けられる存在になっていました」


 また同氏は、渡辺がNMB48メンバーとして行なってきたパフォーマンス力の高さについて次のように解説する。


「もう一人のグループの中心である山本はボーカリストとしての実力でNMBを引っ張ってきた印象が強いですが、渡辺もまたNMB48のダンス選抜といわれた『Must be now』のメンバーに山本とともに選ばれるなど、単にキャラクターとしてグループの顔であるだけではなく、ダンスなどライブパフォーマンスが持ち味のひとつです。また、MCでは笑いを織り込むことに長けたNMB48において、先述した自身のアイドル性をそうしたトークにうまく溶けこませながら目立っていました。バラエティ番組などで48グループのメンバーから“憧れる先輩”として多く名前が挙がるのも、彼女のそうした総合的なパフォーマンスとパーソナリティによるものだったはずです」


 今回、渡辺は卒業発表の場で、渋谷凪咲と薮下柊のWセンターを見たことも卒業を決めた理由のひとつと発言。また、山本は渡辺の抜けたNMB48を支えるべく、AKB48との兼任解除を発表するなど、着実にグループは次へ向けて動き出している。これについて香月氏は、「NMB48の今後に関しては、現時点で不安要素はない」とした。


「もちろん渡辺の不在はグループにとって一時的には大きな衝撃になると思いますが、メンバーの卒業に際しても、寂しさを引きずるのではなく、すぐさま感傷を置き去りにして賑やかな空気を作ってしまうのがこのグループの特徴です。そのムードを担っているのは、渡辺がMCで触れた藪下や渋谷に限らず、センターに近いところで実力を拮抗させている多くの若手メンバーたちです。そうした活発さがNMB48の強みなので、渡辺卒業自体は大きな出来事だったとしても、それでグループの活気が失われてしまうとは考えにくく、山本が語った『セカンドステージ』への移行にも不安はないように見えます。今回の発表に衝撃を受けたファンの反応も、卒業を悲しみつつ彼女のキャリアに敬意を表すようなものが多く、それはグループの未来への不安視ではなかったと思います」


 渡辺個人の今後についてはどうか。


「今回は卒業発表ということなので、まだ彼女がグループを去るまでには期間があります。モデルとしての活動は、最近だと雑誌『LARME』の表紙に起用されるなど順調ですが、それ以外の道に関しても、在籍中に見出していくことも考えられます。マルチに活躍できる才能を持った人でもあるので、ひとまずは彼女の口からハッキリと語られるのを待ちたいですね」


 グループの中心人物として全国区で活躍してきた渡辺。グループは早くも次へ向けて歩みを進めるなか、彼女自身は最終的にどのような道に進むだろうか。(中村拓海)