僕は九州の田舎育ちだ。どこに行くにも、重宝していたのが車だった。学生の頃は漠然と、18歳になったら免許を取得して、女の子を助手席に乗せてドライブデートをするものだと思っていた。間もなく32歳。免許は未だに持っていない。
こういう話をすると、ちょっと上の年齢層の人から、結構馬鹿にされる。最初は「なんで車の免許取得していないだけで、ここまで否定されるんだろう」と思っていた。個人的には、公共交通機関が整っている地域に住んでいるし、車の維持費がもったいないので、免許を持つ必要も現状ないと思っている。(文:松本ミゾレ)
「駐車場代など今まで以上にお金がかかる」という経済的事情も
さて、一般社団法人の日本自動車工業会が4月に発表した「2015年度 乗用車市場動向調査」の中に、興味深い一節があった。現在車を保有していない20代以下の社会人にアンケートをしたところ、そもそも車を購入する意向がないという回答が59%と、6割近い数字になったというのだ。
理由としては「買わなくても生活できる」(40%)といったもののほか、「駐車場代など今まで以上にお金がかかる」(28%)、「自分のお金はクルマ以外に使いたい」(23%)といった経済的なものが目立ったという。
やっぱり現代って何かとお金がかかるばかりで、可能なら消費を抑えたいという人が少なくないのだろう。昔は両親が免許の費用から車から、何から何まで用立ててくれた家庭も少なくなかったが、今は時代が違う。車なんてそもそも買えない若者も増えているのだ。
また、最近は趣味も多様化しており、中にはお金がかかるものもある。車よりも○○に投資したい、という若者は随分増えたということだろう。
「貯蓄が増えていくことが単純にうれしい」という考えも目立つ
調査では、車を持っていない層に毎月自由に使えるお金についても聞いているが、5万円未満が8割だった。また、お金の使い道については、「外食」(78%)、「ファッション関係」(56%)、「趣味」(54%)、そして「貯蓄」(52%)といった項目が目立つ。車になんてとてもお金を回せないというのが現状なのだろう。
一方で、今後増やしていきたいお金の使い方として、目立つのは「貯蓄」をしていきたいという意見だ。未婚・既婚問わず若年層の約50%が貯蓄したいと回答。貯蓄の先に、いずれは車を購入することを視野に入れているというケースもあるだろうけど、現状では今すぐ車が欲しいという若者は、そう多くはないということが分かる結果となった。
また、「貯蓄が増えていくことが単純にうれしい」(26%)という声や「買い物でローンや借金はしたくない」(42%)といった声が非常に目立っている。今の時代、車に対して「これがないと始まらない! ローンを組んででも今すぐ欲しい!」と考える若者は、そう多くはなくなったということだろう。
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