トップへ

miNami aoYamaからFIA-F4参戦の小山「まだ足りないと痛感させられる、いい経験に」

2016年04月14日 12:11  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

miNami aoYama Project FIA-F4岡山大会
2016 FIA-F4選手権 第1戦・第2戦
岡山国際サーキット(2016年4月9日・10日)

2016 FIA-F4 JAPANESE CHAMPIONSHIP
ROUND 1 & 2 Okayama international circuit

9-10 April 2016

入賞まであと一歩、次に繋がる手応え。

 2016年FIA-F4選手権の開幕ラウンドが岡山国際サーキットで開催され、女子ドライバー2台体制で参戦するmiNami aoYama Projectは第2戦で小山美姫が13番グリッドから入賞圏を争うなど、「勝ちに行く」という強い宣言通り力強いレースを見せた。

【予選】赤旗とマシントラブルで不完全燃焼
 土曜日の午前8時10分という寒いコンディションの中で行なわれた予選は、赤旗が2度にわたって提示された影響で「ようやくタイヤが温まってこれからタイムアタックをというタイミングで赤旗が出てしまいました」(美姫)という不完全燃焼のセッションに終わり、美姫は予選16位・13位。

 彩佳は開始直後からダウンシフトができないトラブルに見舞われ、何度もピットインを繰り返してようやくトラブルを解消できた矢先に赤旗でセッションが終わってしまい、予選34位・34位。そのためトップタイムの110%をクリアできず予選不通過となったが、チームからの嘆願書と金曜練習走行での実績により、2戦ともに決勝出場が認められた。

【第1戦決勝】美姫まさかのクラッシュ、彩佳は実戦練習に徹する
 土曜午後の第1戦は、16番グリッドからスタートした美姫が発進ミスを犯して20位まで後退。さらに前走車に追突してノーズとフロントウイングを壊し、リタイアを余儀なくされた。モノコックにもダメージを負っており、童夢のスタッフによって夜遅くまで修復作業が行なわれることとなった。

 34番グリッドの彩佳はオフの練習不足とレース勘を取り戻すべく、マイレージを稼ぐことに専念。思うようにバトルができず本人としては不本意な面もあったようだが、15周のレースを走り切って24位で完走した。

【第2戦決勝】入賞まであと一歩の美姫、彩佳もレース勘を取り戻す
 日曜午前の第2戦では、美姫が13番グリッドからスタート。1周目に好バトルを展開して11番手に浮上したが、5周目にひとつポジション後退。それでも上位集団とほぼ同じペースで走行を続け、上位勢がバトルのなかでコースオフや接触を喫して自滅していくなかで順位を上げて、一時は9位まで浮上してみせた。しかしFIA-F4でのバトルがほぼ初経験とあって12周目に2台に抜かれ、最終的には11位でフィニッシュ。わずかにポイント獲得には届かなかった。

 34番グリッドスタートの彩佳は第2戦でもスタートで順位を上げ、このレースでは第1戦よりも速いペースで周回。次戦に繋がる経験を積んで24位でチェッカードフラッグを受けた。



MIKI KOYAMA
小山美姫
(#33 delico 373NY 16M)
Rd.1:予選16位/グリッド16番/決勝DNF(FL 1:39.297 6L/7L)
Rd.2:予選13位/グリッド13番/決勝11位(FL 1:34.576 9L/15L)
「第1戦のクラッシュは、スタートで出遅れて『抜き返さなきゃ!』って思いながらも、黄旗があちこちで出ていたので注意はしながら走っていたんですけど、前が詰まっていて避けきれなくて前のクルマのリヤタイヤに当たってマシンが跳ね上がってしまいました。本当に申し訳ないし、二度としないと反省しています」

「第2戦はクルマがややオーバーステア傾向だったので、乗り方を合わせ込みながらの走行でした。熱くなりすぎないように自分で注意していましたが、それでも合わせきれなくて、最後はリヤがズルズルでいつスピンするかってドキドキしながら走っていました」

「去年走っていた30位前後のバトルと今回の10位前後のバトルでは全然違いました。スピードも違うし、駆け引きの組み立て方も違いました。そこがズレていて全然上手く行かなかったのは、自分の頭が足りなかったせいだと思います。自分がもっと良いドライバーだったら8位とか7位でフィニッシュできたはずなので、悔しかった。まだまだ足りないと痛感させられましたが、次戦以降につながる良い経験ができたと思います」



AYAKA IMAHASHI
今橋彩佳
(#32 yarn 373NY 16A)
Rd.1:予選34位※/グリッド34番/決勝24位(FL 1:37.391 14L/15L)
Rd.2:予選34位※/グリッド34番/決勝22位(FL 1:35.595 8L/15L)
※マシントラブルにより予選不通過ながら練習走行の実績により決勝出走許可

「予選はトラブルなので仕方がありませんが、練習走行で『予選で一発を決めて良いところからスタートしたい』という手応えがあっただけに悔しさもありました。第1戦は半年ぶりの実戦でレース慣れしていないこともあり、セーブしすぎてグダグダでした。ぶつかりたくないがゆえに自分自身があまりにも引いてしまって、本当に信じられないくらい情けない恥ずかしいレースをしてしまったと思います」

「そうやって一人旅になっていくっていうのが去年からずっと同じ私のレースだったんですが、第2戦はそこから前のクルマに追い付いていくことができたので、そこは良かったかなと思います。初戦から上位で戦えるとは思っていなかったし、まずは確認をしながらしっかり走り切ろうと思っていたので、クルマを壊すことなく2レースとも完走できたことは良かったと思います」

「岡山はF4でちゃんと走るのが初めてでも初日からそこそこのタイムで走れたので、次に向けた自信にはなりました。次の富士はレース経験もありますし、まずは予選でビシッと決めてバトルのできる位置で速いドライバーたちに食らいついていくレースがしたいと思います」

TSUBASA KUROSAWA
黒澤翼(エグゼクティブアドバイザー)
「彩佳はテストも岡山の走行経験も浅いなかでの開幕戦でしたが、走り始めと第2戦では別人のようでした。スタート直後や混戦のなかなどでは、まだ女の子の優しさが出てしまっていますが、第2戦ではトップグループから1秒落ちくらいのペースでコンスタントに走れ、1戦目より確実に成長していました」

「美姫は第1戦はミスで終わってしまいましたが、その悔しさを第2戦にぶつけて頑張って、良い走りができたのは良かったと思います。集中するのは良いことですが、集中して周りが見えなくなり、凡ミスがあるところは課題ですね。同じ条件で走ればトップグループと遜色ないので、広い視野でもうちょっと周りが見えるようになれば良いと思います」

「正直、女の子だと思って馬鹿にしていました。ですがこの開幕ラウンドでの2人の走りと成長ぶりを見て、これからの2人に期待したくなりました。といいますか、アドバイスして彼女たちが成長していくのが楽しみです! ちょっと褒めすぎですかね?(笑)」

TSUYOSHI TAKAHASHI
高橋毅(チーム監督)
「彩佳はスタートがあの位置でしたし、オフの間の走り込みもできていませんから、実戦練習としてじっくりと走り追い上げていくレースをと考えて、その通りの走りをしてくれたと思います」

「美姫は前走車に追突してしまいましたが、本人もよく反省して学んだことも大きかったはずですし、今後さらに上位で戦っていく時には絶対に許されないようなことの膿出しをこの段階でしておけたことは前向きに捉えても良いかなと思います。レース2はスタートを上手く決めてトップ10の周りと遜色ないペースでバトルができましたから、次に繋がるレースができたなと思います」

「周りのチームやドライバーからすれば、『女子ドライバーがどこまでやれるんだ?』という目はあったと思いますが、今回の美姫の走りを見て周りの見方も変わってくるでしょうし、今後は我々にとっても甘くないレースになっていくだろうなと思いますが、これから今回のデータを見直して分析し、チームとしっかりと話し合って次に向けて作り上げて行きたいと思います」

miNami aoYama(チーム代表)
「彩佳はこのオフは箱車のトレーニングをさせていましたから、急きょFIA-F4への参戦となり不安を抱えながらのレースだったと思いますが、強い意志を持って開幕に挑んでくれました。予選ではマシントラブルで走行できず悔しい思いをしましたが、決勝は最後尾から自身の今できる限りの走りをしっかりしてくれたと思います。次の富士では中団で戦える力は見せてくれたので楽しみにしています」

「美姫はこのオフに2800kmも走らせ、冬のコントロールが効かないマシンを何度も何度も壊しながらも格闘してきた甲斐あって、開幕戦では走り始めからタイムが右肩上がりにアップしていきました。第1戦では大失態を犯しましたが、第2戦では一時は9位を走っていました。モニターを見ていて涙腺を抑えるのが大変でしたが、レース勘の不足から2台にごぼう抜きにされ最後は11位に後退してしまいました」

「しかしこれは神様が『miNami aoYamaのホームサーキットである富士で結果を出しなさい!』とくれたチャンスだと思って、次は5位入賞を狙います!」