F1公式タイヤサプライヤーであるピレリのモータースポーツディレクター、ポール・ヘンベリーは、2016年にタイヤ規則を変更したことでチームの戦略が多様化しており、予想以上の効果が見られて驚いたと語った。
より面白いF1を狙った対策のひとつとして、今年からF1タイヤレギュレーションが変更された。1グランプリに持ち込まれるタイヤコンパウンドは3種類に増やされ、週末に1台あたり使用する13セットのうち10セットはドライバーごとに自由にコンパウンドの配分を決めることができる。
結果だけを見るとここまでの2戦でメルセデスが勝利を収めていることに違いはないが、全11チームが選ぶ戦略が昨年よりもバラエティに富んでいるのは確かだ。今週末の中国GPに関しては、ドライバーふたりが違うタイヤ選択をしたチームは5チームに上り、優勝候補のメルセデスとフェラーリの選択も異なっている。
ヘンベリーは、期待していた状況だが、想像以上の効果が見られ、嬉しい驚きを感じていると語った。
「多少は期待していたが、最初の2戦を終えてみて、予想していた以上の変化があったといっていいかもしれない。タイヤのことは皆よく知っているにもかかわらずだ」とヘンベリー。
「まだ使ったことがないのは今年新しく導入するウルトラソフトだけだ。つまりどのチームもタイヤについてはたっぷりデータを持っている」
「開幕前に何人かのストラテジストと話をしたところ、彼ら全員が、3つのパフォーマンスパラメーターがあることで、チームはその時の状況に従って多数の決勝戦略を考え付くであろうと予想した」
「今後に向けて面白い要素になるかもしれない。2017年に向けてそうなるのは間違いない」
シーズンが進むにつれて各チームの戦略が同じようなものになってくる可能性もあるのではと聞かれたヘンベリーは「状況を見ていこう」と答えた。
「今後も戦略面である程度の計略が行われることを期待している」
一方でヘンベリーは、バトルの多い、結果が予想しづらいレースを実現するには、結局はチーム間のマシンパフォーマンスが縮まる必要があると考えている。
「最終的には、激しいバトルが行われるようにするには、マシン同士のパフォーマンス差が縮まらなければならない。しかし当然のことながら、いい仕事をしたチームを批判するようなことはできない。彼らは規則をうまく理解して素晴らしい仕事をしたのだ。彼らは今の成功に値する。(もっと接戦になるには)他のマシンが速くなるべきなのだ」