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嵐 二宮、Hey! Say! JUMP 山田、Sexy Zone 中島…実写化作品で個性発揮したジャニーズメンバー

2016年04月14日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 ジャニーズメンバーたちが出演する人気アニメ・漫画の実写化作品が急増している。人気作品を実写化するにあたり、世間一般からの評価は賛否両論あるだろう。しかし、ジャニーズメンバーが実写化することによりプラスされる面白みもあるのではないだろうか。今回は「ジャニーズメンバーだからこそ引き出された実写化の面白み」について考えてみたいと思う。


(関連:嵐・二宮和也は“国民的俳優”となるかーー大御所も認める仕事へのスタンス


■『GANTZ』嵐 二宮和也


 累計発行部数2000万部以上を誇る人気漫画作品『GANTZ』は、2011年に実写化された。その主人公・玄野計を演じたのが嵐の二宮和也である。この映画は原作と大きく違うことで話題になったが、それでも世界観をまとめ上げられていたのは、俳優陣たちの演技力があったからだと思う。そして、二宮も主人公・玄野の心理を絶妙に表現していた。例えば、ヒーローを演じるシーンだ。主人公・玄野は“ヒーロー願望”のようなものを抱えているのだが、実際には至って平凡な男性。しかし、ガンツのミッションを行なっている時と、ヒロイン・小島多恵の前だけでヒーローを“演じる”ことができるという心理がある。その、“演技がかった感”を表現する二宮の演技は類を見ないほど見事であった。決して大げさではなくかすかな違和感程度の演技なのだが、それを演じ分けられる二宮は流石といったところだ。数々の有名監督たちから評価を得ていることもうなずける。繊細な演技力を持った二宮が主人公を演じることで、原作とはひと味違いつつも新しい『GANTZ』が楽しめたのではないだろうか。


■『暗殺教室』Hey! Say! JUMP 山田涼介


 人気漫画家・松井優征による作品『暗殺教室』が実写化され、主演として潮田渚役を演じたHey! Say! JUMPの山田涼介。2015年に公開された第1作は興行収入27.7億円のヒットとなり、2016年3月25日から公開された第2作もまもなく興行収入29億円に達すると言われているほどだ。そんな映画『暗殺教室』を盛り上げたのは、原作・潮田渚のキャラクターと山田自身がピッタリ合致していたことではないだろうか。小柄かつ中性的な雰囲気、無邪気な笑顔、ふと流す涙など、普段のアイドル・山田涼介と重なる部分がたくさんあるのだ。そこに、さらに潮田渚に近づけるための山田の演技や努力がプラスされ、“映画『暗殺教室』の主役・潮田渚”が出来上がっているのだと思う。実際にこの『暗殺教室』にて、山田が日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞したことがその証拠であろう。


■『銀の匙 Silver Spoon』Sexy Zone 中島健人


 漫画『鋼の錬金術師』の作者でもある荒川弘による『銀の匙 Silver Spoon』は、2013年に実写映画化されている。主人公を演じたのは、Sexy Zoneの中島健人だ。中島といえば、キラキラした絶対的王子様キャラで有名だ。しかし、『銀の匙 Silver Spoon』の主人公・八軒勇吾はどちらかと言うと冴えないキャラクターである。その八軒をあえて中島が演じるギャップが面白い。八軒になるための徹底っぷりは相当なもので、監督の吉田恵輔氏が中島に「キラキラするな」という演技指導をしたり、中島自身も撮影中常にテンションを落とし、猫背で過ごし、私生活でも眼鏡をするという細かい役作りを行なったそうだ。一転して、完成披露イベントでは馬に乗って登場する王子様キャラを披露。このギャップが、作品における良いスパイスになったのではないだろうか。


 今後もHey! Say! JUMPの伊野尾慧による『ピーチガール』(2017年公開予定)、Sexy Zoneの佐藤勝利による『ハルチカ』(2017年公開予定)などの実写映画化が次々と決定している。一般的に言われる実写化成功は商業的要素、原作ファンから見た実写化成功は世界観の再現性という差があるものの、見方を少し変えるだけでジャニーズによる実写化に面白みを見出すことができると思う。新しい視点で実写化を鑑賞することで、ひと味違った作品の魅力を実感できるかもしれない。(高橋梓)