ホンダF1プロジェクト総責任者、長谷川祐介氏が、昨年のF1復帰以来、ホンダのパワーユニットにはある程度の改善は見られているものの、ドライバーたちが他のマシンをオーバーテイクするのに苦労せずに済むよう、トップエンドのパワーをもっと向上させる必要があると語った。
昨年は信頼性とパフォーマンス両面の問題で苦労し、マクラーレン・ホンダはコンストラクターズ選手権で9位に終わったが、今年ホンダのパワーユニットは信頼性が向上、ERSのパフォーマンスも改善したと考えられている。しかし長谷川総責任者は、中団チームとのバトルにも苦労している状況から抜け出すには、ICEのパフォーマンスを向上させる必要があると語った。
「内燃機関に関していえば、目標からそう遠くないところにいます。(でも)トップエンドのパワーが十分でないということははっきり理解しています」と長谷川総責任者は英AUTOSPORTに対して語った。
「そこはとても重要なポイントなので、改善する必要があります。特にあまり強力でないマシンをオーバーテイクするためには大事なことです」
「失礼な言い方になってしまうかもしれませんが、彼ら(マクラーレン)はザウバーやハースですらオーバーテイクするのに苦労しているのです」
「トップエンドスピードが原因だと思うので、そこを改善する必要があるのは明らかです」
長谷川総責任者は、やみくもにパワーを追及するのではなく、信頼性との間でうまくバランスを取って向上させていくことが重要であると考えている。
「最大のパワーを提供するだけでは意味がないと考えました。信頼性とパワーの間でいいバランスを見つける必要があります」
「3周しか走らないエンジンを作るつもりはありません。優れたバランスポイントを見つけることはとても重要であり、難しい仕事です。ただパワーを最大限に引き出すだけならさほど難しくはありません」
今年のエンジンは、信頼性とのバランスを考え、シャシーのセットアップを最適化できることを考慮して開発したため、パワー自体は今のところ昨年とほぼ同程度であると、長谷川総責任者は語った。
「パワーを大幅にセーブしたわけではありません。ほぼ最大限のパワーを達成しています。すでにそこまでのものを搾り出しています」
「パワーをさらに引き出すために努力していきます。今のところ去年とほぼ同じぐらいの状態です」