4月7~8日(金)の2日間、ツインリンクもてぎのスポーツ走行枠を使って、台湾人ドライバーのロイ・チウ(邱澤)がF3-N車両でのテストを行った。
ロイ・チウは、これまでカートや二輪でレースキャリアを積み、アジアン・フォーミュラ・ルノーに参戦するなど実戦も経験。今回はステップアップを狙い、自身初のF3テストを行った。チームはKRCハナシマレーシングで、今回ドライブした77号車は、三浦勝が2015年に全日本F3選手権で使用していたダラーラF306だ。
実はロイ・チウは、台湾や中国を中心に絶大なる人気を集める俳優・歌手なのだ。もちろん日本でもアルバムがリリースされている。撮影等の多忙な生活を送るなか、オフになると頻繁に来日し、東京や京都でのバカンスを楽しんでいるという親日家であり知日家。高校生時代に日本語を選択していたことで、日本語もとても流暢。そんなロイは、かねてより日本のレース参戦を希望しており、今回はまさにそのための布石とすべきチャレンジとなった。
テスト初日の7日は残念ながらヘビーウェット。ストレートではまっすぐ走るのも難しいようなハイドロ寸前のコンディションでの走行となったというが、8日は一転して完全ドライ。1周ごとにマシンの挙動を確認しながら徐々にペースを上げ、ニュータイヤを履いたセッションでは1分50秒台前半のタイムを記録してテストを終えた。
「F3のダウンフォースは予想以上でした。ブレーキングの感覚もすぐにはつかめませんでしたね。ブレーキングポイントが早すぎたり突っ込みすぎたりいろいろでした。正直、初日のウェットが悔しいです。F3の本当の限界は、この2日間ではつかめたとは言えません」とロイ。
「できれば2日間ドライで走りたかったですね。機会があれば、また必ずテストしたいと思っています」
今後、すぐに全日本F3に出場したり、日本のレースに出たりする予定はない。しかし「日本のレースに参戦できればうれしいです。F3はもちろんですが、スーパー耐久やスーパーGTも素晴らしいレース。チャンスがあれば、ぜひ!」と意欲的だ。
今回のテストを担当したハナシマレーシングの水野晃エンジニアは「初のF3走行で、しかも路面の変化が大きくあるなかで、ノーミスでしっかりと走り終えたことは素晴らしいこと。また、ピットアウト時のクラッチミートを見ていても、またタイムの刻み方を見ていてもセンスを感じますね。日本語でコミュニケーションが問題なくとれるということもありがたいですね」と評価は上々だ。
タイムはもちろんのこと、今回は日本のレース界へのリンケージを深め、なにより自分が今後レースをチャレンジしていくための決意を固めるうえでの良い機会となった様子。台湾のスターが今後、日本のサーキットで見られる日が来るのかも……!?