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坂口健太郎、なぜドラマで重要な役どころに? “悟り世代”の演技の強みを考察

2016年04月12日 16:51  リアルサウンド

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リアルサウンド映画部

 俳優・坂口健太郎の出演するドラマ『重版出来!』(TBS系)が、本日夜10時から放送開始される。本作は、大手出版社に新卒で入社し編集者として働き始めた黒沢心(黒木華)が、様々な逆境を乗り越えながらも“重版出来”を目指し奮闘する模様を描くヒューマンドラマ。坂口は、望まない部署に配属されたが故に仕事に魅力を感じられず、情熱も目標もなく仕事をこなす営業マン・小泉純を演じている。前クールの月9『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』のメインキャストに抜擢されたことで知名度を一気に高め、さらに4月から放送が開始されたNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』では、ヒロインの高畑充希と恋仲になる可能性がある青年・星野武蔵を演じている。


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 俳優デビューしてから日が浅い坂口が、なぜ次々と重要な役どころや話題作に抜擢されるのか。坂口の持つ役者としての強みを、ドラマ解説者の木村隆志氏は次のように語る。


「現代の若者が持つ“ナイーブさ”や“いまどき感”を、ナチュラルに演じることができるのが坂口健太郎さんの強み。このところ坂口さんの起用が続いているのは、『若者が持つ未熟さを無理なく表現できるから』ではないでしょうか。若手俳優の多くは本人が意図していなくても、やる気や熱い想いが表に出て、脱力系の役を演じるときに邪魔になるのですが、坂口さんにはそれがありません。「冷蔵庫はいらない」と語るなど物欲や執着心が少なく、身の丈をわきまえたような抑え気味の発言など、坂口さん自身のキャラがこれまで演じてきた“悟り世代風”の役柄とリンクしていました。また、モデル出身でカメラ慣れしているからこそ、必要以上に緊張することなく自然体の演技ができるのでしょう。仮面ライダーや特撮ヒーローシリーズなど若手俳優の層は厚いものの、その中でも悟り世代を上手く演じられる役者は貴重な存在です」


 さらに、坂口のような飄々としたキャラクターは、連続ドラマにおいて活用しやすいと同氏は続ける。


「連続ドラマは3ヶ月かけて、登場人物の内面の変化を少しずつ描いていきます。『重版出来!』でも、坂口はやる気のないところからスタートしますが、実は胸の内に熱い想いを秘めていて、それが徐々に覚醒していく、という役どころです。演出サイドから見たら、王子様のようなイメージが強い福士蒼汰さんや山﨑賢人さんとは異なり、いい意味で個性が前面に出ていないからこそ、キャラクターの二面性や奥行きが出しやすい俳優と言えるでしょう。また、固定イメージがないことが、幅広い役へのキャスティングにも繋がりますし、視聴者に余計な先入観を与えない、という強みになります。なかでも“恋の三角関係”という設定で、主人公男性の対抗馬として起用されやすいのは、さまざまなキャラに染まれる資質があるからに他なりません」


 2016年は初舞台への出演が決まっているほか、2017年には主演映画も控えているなど、今後の活躍にも期待が寄せられる坂口。近い将来、ドラマ主演も期待できるという。


「モデルとしてしっかりと実績を残している人が、大抜擢という形ではなく、着実にステップアップしているのが、世間にも好意的に受けとめられています。事務所の先輩である小栗旬さんや綾野剛さんのように、連ドラ主演のチャンスも早い段階で訪れるのではないでしょうか」


 これまでモデル俳優としてのビジュアルの良さが前面に出ていた坂口健太郎だが、今後は役者としての才能に脚光が集まりそうだ。(泉夏音)