ワタミ創業者の渡邉美樹氏が、この春ワタミに入社した新人に贈った言葉が話題となっている。渡邉氏は、4月11日にフェイスブックを更新。「昔と違うだろ…と言われるかもしれませんが」と前置きし、こうメッセージを贈った。
「仕事と向き合いはじめ、辛く無理だと感じた時は、無理と言っていいから。かならず言ってくれな」
かつては「無理やりにでも一週間やらせれば無理じゃなくなる」と発言
渡邉氏は12人の新人と2ショット写真を撮影。「創った会社を、人生でたった一回の新卒入社で選んでくれてありがとうの気持ちでいっぱい」と感激し、「インターネットに並ぶ言葉でなく、事実の数字を誇りに、これからのワタミと言う会社で夢を叶えてください」とエールを送っている。
インターネットに並ぶ言葉とは、何を指すのか。渡邉氏はかつて出演したテレビ番組の中で、今回とは真逆の発言をした記録がネットに残っている。
「『無理』というのはですね、嘘吐(つ)きの言葉なんです。途中で止めてしまうから無理になるんです」
「『それは無理です』って最近の若い人達は言いますけど、たとえ無理なことだろうと、鼻血を出そうがブッ倒れようが、無理やりにでも一週間やらせれば、それは無理じゃなくなるんです」
そのブラック過ぎる思想は視聴者をドン引きさせ、あがった批判の書き込みは今もネットに残っている。渡邉氏が「ネットに並ぶ言葉でなく」と書いたのは、過去の自分の発言に囚われるなという意味なのか、それともブラック企業批判にめげずに頑張れということなのだろうか。
渡邉氏のフェイスブックには300件以上のいいね!が付き、「今の美樹さんは、素敵だと思います」「夢を叶えられる場をもっと創っていきたいですね!」といったコメントも寄せられていた。支持者にはかなり受けがいいようだ。
1月のインタビューでは「理念が曲解された」と言い訳
ただしネットには、渡邉氏の書き込みを冷ややかに見る人もいる。ある人は「無理と言っていい」という言い方が許可に見えるとして、「創業者の許しを得なくたって、無理なものは無理と言うに決まっている」「無理と言う前に辞めるだろう」と首を傾げる。
ワタミは昨年12月、社員の過労死自殺裁判で遺族に1億3000万円支払うことで和解。渡邉氏もフェイスブックに「私もワタミも、和解の趣旨を誠実に実践し、自らと会社を改革して参ります」と投稿していた。
しかし、1月に発売された「日経ビジネス」のインタビューでは「理念が曲解されてしまった」「心ない誹謗によってワタミは大きなダメージを受けました」と弁解じみたことも語っており、本当に反省しているのか分からない様子を見せていた。
「プレジデント」誌が2月に発表したワースト経営者ランキングでは、「東芝歴代社長」を抑えて渡邉氏が1位に。渡邉氏はすでにワタミの経営からは退いているものの、筆頭株主として大きな影響力を持っている。同社が社会の信用を取り戻す日は来るのだろうか。
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