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対バンを通じた“仲間意識”が、邦楽ロックシーンの新潮流を生む? フォーリミ主催『YON FES』で感じたこと

2016年04月11日 13:51  リアルサウンド

リアルサウンド

『YON FES』04 Limited Sazabys photo by ヤオタケシ

 04 Limited Sazabysが4月2・3日に初開催した『YON FES』。2015年のメジャーデビューからわずか1年しか経っていない彼らが主催したイベントは、同世代バンドが集結した現代の“邦楽ロックシーン”の象徴の一つといえるものとなった。


(参考:04 Limited Sazabys主催『 YON FES』ライブ写真はこちら


 各メディアで“同世代バトル”と見出しが付いたこのイベントは、ここ2~3年の間に人気が急上昇し、知名度を上げたアーティストたちが多く名を連ねた。昨年に全国30カ所で開催したツアーを即日ソールドアウトさせた<PIZZA OF DEATH RECORDS>のWANIMAをはじめ、今年3月にインテックス大阪2DAYS、幕張メッセ2DAYSを満員にしたキュウソネコカミや、10月に武道館公演を控えているBLUE ENCOUNTなど。シーンというものは、1バンドだけで作られるものではない。同フェスに集まった面々は、いつからかロックシーンを動かしていこうとする“仲間”の意識を持ち、切磋琢磨してきたように思う。


 そうした仲間意識を生み出すきっかけとなっているのが、新人バンドをフィーチャーしたライブ・イベントなのではないか。たとえば、スペースシャワーTV主催のライブイベントツアー『スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR』。全国数カ所を約1カ月間にわたり、選ばれたバンドで共にツアーを回っていく。昨年度の『スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR2015』には、04 Limited Sazabys、HAPPY、THE ORAL CIGARETTES、Brian the Sunが出演し、全バンドが『YON FES』で再会を果たした。当日は、それぞれのバンドがMC中に昨年のツアーについて触れる場面も。THE ORAL CIGARETTESの山中拓也(Vo/Gt)は「改めてフォーリミのこと尊敬するなと思いました」と語っていたが、後日赤坂で行った自身のワンマンライブでは「正直悔しかった」と話しており、ツアーをともに回った“同期”の大きな飛躍を感じ取っていたようだ。


 他にも同世代バンドが対バンするライブ・イベントは数多く存在する。数回にわたって企画されるそれぞれの場で共演を繰り返すことが、次のシーンの担い手としての仲間意識をより強固なものとするきっかけにもなっているのである。


 また、同フェスを訪れて強く感じたのは、04 Limited Sazabysを後押した同郷バンドたちの支えである。今回出演したBACK LIFT、THREE LIGHTS DOWN KINGS、Special Thanksは、04 Limited Sazabysの結成当初から名古屋で対バンし、互いに高め合ってきた仲である。BACK LIFTの小林'KICHIKU'辰也(Vo/Ba)が何度も言っていた「繋いでいこう、繋いでいこう」という言葉には、同イベントだけでなく、このイベントをきっかけとして新たな音楽シーンへ繋げていこうという思いが込められていたはずだ。特に、後輩バンドとして出演したENTHやLUCCIにその勢いを繋いでいこうとする04 Limited Sazabysの姿勢からは、シーンの担い手としてのリーダーシップを強く感じた。それは、デビューまでの道のりが長く、地元を背負ってここまで活動を続けてきた彼らだからこそ持ち得るものだろう。


 数々のライブ・イベントでの対バンを重ねてきた仲間との絆を、『YON FES』として一つの形にした04 Limited Sazabys 。6月4日に開催される<PIZZA OF DEATH>主催のイベント『SATANIC CARNIVAL'16』には、初年度から3回連続での出演が決定している。「新人代表!」と名乗っていた当時に比べると、貫禄も現れ出した彼らや、『YON FES』1日目のトリも務めたMy Hair is Badらのようなバンドたちのさらなる飛躍に期待したい。(大和田茉椰)