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SGT開幕戦岡山決勝:GT500はMOTUL GT-Rが逆転V。激戦の2位争いは平川が千代の猛攻退ける

2016年04月10日 18:11  AUTOSPORT web

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MOTUL AUTECH GT-R
2016年のスーパーGT開幕戦岡山は10日(日)、岡山国際サーキットで82周の決勝が行われ、昨年王者のMOTUL AUTECH GT-Rが貫禄のレース運びで開幕戦を制した。



 気温20度、路面温度26度、曇り空の中でレースがスタート。ポールシッターのKeePer TOM’S RC Fを先頭に順当に1コーナーへ。序盤は大きな順位変動もなく各車ともに様子を伺う展開となる。そのなかでも、昨年の岡山ラウンドも勝利しているKeePer RC Fのペースがよく、スタートドライバーを務めたジェームス・ロシターが3周目に2.2秒のアドバンテージを築き、その後も少しずつ後続を引き離していった。

 5周目を過ぎると各所でバトルが勃発。序盤にファンを沸かせたのがWedsSport ADVAN RC Fの関口雄飛。7周目の1コーナーでZENT CERUMO RC Fの石浦宏明を交わし、7番手に浮上すると、すかさずDENSO KOBELCO SARD RC Fの平手晃平に並びかけ、9周目のヘアピンでGT300クラスを巧みに使って平手をパス。6番手に浮上すると、そのまま5番手を走るカルソニックIMPUL GT-Rの安田裕信にも襲いかかっていった。
 一方、先頭のロシターは、後続が激しい順位争いをしている間も快調に周回を重ね、16周目には後続に対して5秒のギャップを築いた。

 20周を過ぎると今度は2番手争いが熱を帯びてくる。スタートから2番手をキープしていたWAKO'S 4CR RC Fのアンドレア・カルダレッリの後ろにMOTUL GT-Rのロニー・クインタレッリが迫った。サーキット各所で激しい攻防戦を繰り広げた末、28周目のヘアピンでクインタレッリがオーバーテイクに成功。その後もペースを落とすことなく、徐々にロシターに迫っていき、29周目に4.9秒差、そして34周目には0.9秒差まで接近した。
 逆に背後まで迫られたロシターは35周終わりでピットイン。48秒でピット作業を終え、平川亮にバトンをつないだ。

 前方がクリアになったクインタレッリは一気にペースをアップ。1分22秒台のラップを刻み39周目にピットイン。チームも完璧な作業で応え、40.8秒のピットストップで松田次生を送り出し、KeePer RC Fとの順位を逆転することに成功した。後半スティントを任された次生も1分22秒台のペースで一気に差を広げ、42周目にはギャップを10秒まで拡大し、優勝に向けて盤石な体制を築いていった。

 次生は圧倒的なペースで走行を重ねたうえ、レース終盤は後続が順位争いを繰り広げたこともあり、完全に独走状態に。MOTUL GT-Rは、2番手に15秒の大差をつけてそのままトップチェッカーを受け、シリーズ3連覇に向けて、幸先の良いスタートを切った。

 一方、中盤のピットストップ以降はこう着状態となっていた2番手以下の順位争いでは、4番手を走るS Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代勝正が熱い走りでレースを盛り上げた。本山哲からバトンを受け取ると、GT500では初レースにも関わらず1分22秒台を連発し、前を行くWAKO'S RC Fの大嶋和也に近づきプレッシャーをかけていく。千代は度々ヘアピンで勝負を仕掛けるも、大嶋も冷静に反応し、サイド・バイ・サイドのバトルが展開。しかし52周目、千代はヘアピンでついにその扉をこじ開け、3番手に浮上した。

 勢いに乗った千代は手を緩めることなく2番手を走る平川にも接近。当初は10秒あった差を、10周ほどで5秒差まで近づくと、その後も1分23秒台のペースを維持して69周目には1秒後方まで接近。昨年の岡山を制した平川を追い詰めていった。

 残り10周になりテール・トゥ・ノーズの状態になると、千代はさらにアグレッシブな走りで平川に仕掛けていく。アトウッドコーナーではリヤをスライドさせるほどの気迫で攻略にかかるが、平川もGT300クラスを間に挟むなど巧みなレースさばきで応戦。平川と千代による2位争いは最終ラップまで続いたが、最後まで平川がポジションを守りきり、チェッカー。GT-R勢によるワン・ツーフィニッシュを阻止するとともにチームメイトのジェームス・ロシターに待望のGT初表彰台をもたらした。3位はS Road GT-Rが獲得し、千代はデビュー戦でポディウムを獲得した。

 前人未到の3連覇に向け、開幕戦から王者らしい走りをみせたMOTUL GT-R。クインタレッリは「特にグリップが良くて、ミシュランタイヤがうまく機能してくれた」とレース前半を振り返り、ハンドルを引き継いだ次生も「トラフィックが多かったですが、最初からギャップを作っていって、最後は楽に走れました」と語った。チームを率いる鈴木豊監督も「今年のひとつの目標として、開幕戦は優勝したかった。その点ではふたりとも頑張って勝ってくれました」と、ドライバーの見事な働きぶりを喜んでいた。

 レース後半、観客を沸かせる走りをみせた千代は「後半、とにかく前を追いかけて無心で走った。本当は上を目指したかったけど、今日はチームのみんなに感謝しています」とコメント。パートナーの本山は「ずっとタイムも良かったし、いいバトルだったし、何よりも2日間頑張り続けた千代は素晴らしかった」と、チームメイトの走りを絶賛した。

 また、予選から苦戦が続いていたホンダ勢は14番手スタートのRAYBRIG NSX CONCEPT-GTの山本尚貴が序盤の混戦で少しずつ順位をあげ、20周目に10番手へ浮上。後半の伊沢拓也も安定した走りをみせ、苦しい週末でありながら10位に入り、1ポイント獲得につなげた。ARTA NSX CONCEPT-GTはトラブルか、25周目にピットイン。そのままマシンをガレージに戻し、リタイアに終わった。