グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)の会長を務めるアレクサンダー・ブルツが、F1に取り入れられるコックピット保護デバイスについて、見た目に醜悪と思われたとしても、まずは生命を守ることを優先すべきだと述べた。
プレシーズンテストでフェラーリが試したハロに関しては、賛否が真っ二つに分かれたが、批判的な意見の主な理由はルックスが良くないことだった。
レッドブルは、これに代わるスクリーンシステムの案を公表し、4月末にはデモンストレーションを予定している。同チームに所属するダニエル・リカルドとダニール・クビアトは、このシステムに肯定的な見方を示している。
ブルツは、個人的にはジェット戦闘機のキャノピーのような形態が望ましいように思うとしながらも、FIAが2017年から採用する可能性が高いハロについては、主な目的が優先されなければならないと述べている。
「ハロは美しいかとたずねられれば、私の答えはノーだ。だが、その機能を取り入れるのは正しいことかという質問には、イエスと答える。ドライバーたちの大多数も同じ考えだ」と、彼は語った。
「少なくとも、その方向に向けて何らかの対策が必要かどうかを(GPDAで)採決したときには、全員が賛成した。いま私が話しているのも、機能についてであって美しさについてではない。あるものが美しいと思うかどうかは、人によって意見が分かれるだろう」
「ハロ、あるいはその他の頭部保護デバイスに関して、私たちが望んでいるのは、不運なドライバーに向かって何らかの物体が飛んできたときに、そのドライバーが生存できる可能性を少しでも高めたいということだ。そうしたデバイスがあっても、たとえばオー・ルージュを時速320キロで走り抜けるような勇気とスキルは、少しも損なわれない」
また彼は、ハロには今後ルックスが良くなる可能性もあり、もっと見た目に美しいものを求めている人々も、このデバイスに最初から拒絶反応を示すべきではないと述べた。
「まずは本来の機能を果たすことが重要だ。ハロには比較的簡単に導入できるという利点があり、ひとまず機能が確立されてから、デザイナーがもう少し見映えの良いものにしたり、ルックスの違うデザインを考えたりすることもできる」
「いずれにせよ、現状のハロが最終バージョンではないことは確かで、将来的には必ずアップデートされる。2~3年後にはもう少し格好良くなり、4年後には誰もが『ワォ!すっごく良くなったじゃないか』と言うようになるかもしれない」
ブルツは、レッドブルのデバイスはまだ画像しか見ておらず、効果がどれほどのものなのかわからないものの、その意図は理解できるという。
「基本的な狙いはハロとまったく同じで、ドライバーの安全性を高めることにある。レッドブルのデザインが、ハロよりも見た目の良いものにしようと試みているのは明らかだが、それでも好き嫌いの意見は分かれている」
「レッドブルのデバイスは、まだ彼らのアイデアを視覚的に表現した段階にとどまっていて、この種のデバイスが持つべき構造的強度や機能について、綿密に計算されたものではないようだ」