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今宮純によるバーレーンGPドライバー採点&短評

2016年04月09日 15:21  AUTOSPORT web

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2016年バーレーンGPの最高得点は、ニコ・ロズベルグ
今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、22人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選ぶ。レース結果だけにとらわれず、3日間コース上のプレーを重視して採点。なお、この企画の番外編として「チーム賞」をF1速報Facebookにて選出している。

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☆ ケビン・マグヌッセン
よく攻めきったが“1点突破”は、ならなかった11位。金曜日の車重チェック指示に従わなかった件(故意ではない)で、ピットスタートの重いペナルティ。それなら、まず義務タイヤのソフトを履き、すべてニュー・スーパーソフトでつなぐ3ストップ作戦で攻撃的に行こうと決めた。非力なマシンとパワーユニットで善戦バトル。

☆ バルテリ・ボッタス
1コーナーで接触した当事者ハミルトンでさえ「あれはレーシングアクシデント、ボッタスは謝る必要などない」と言うのに、ピットスルーのペナルティ。審査委員デレック・ワーウイック氏は厳しく、なぜか英国人ドライバーには甘い傾向が目立つ。一時は17番手まで後退したが、粘り強いボッタスらしく9位。

☆☆ ジェンソン・バトン
予選14位、決勝リタイアの結果は新人以下だったが、フェルナンド・アロンソ欠場となったチームのピンチをベテランがカバーした。フリー走行2回目の3位は、マクラーレンとホンダ全スタッフの戦意を高める仕事。可能性を模索し、次のステップへの道標を示唆すること。いま彼が取り組むべき仕事は、それだ。

☆☆ マックス・フェルスタッペン
2006年にチームを結成してから、トロロッソはバーレーンでの入賞がなかった。昨年も2台全滅。苦手なわけは、どうも「ストップ&ゴー」のレイアウトに弱いからか。カナダGPでも苦戦が多い。そのジンクスを、やっとフェルスタッペンが破った。51周目にマッサをパスして「齢の差バトル」に勝ち、6位。



☆☆☆ ダニール・クビアト
フリー走行では5位、7位、7位とダニエル・リカルドより順調だったのに、予選で急変15位。この不思議な失速は何かトラブルでもと思ったが、「パルクフェルメ規定」後のパーツ交換は一切なし。ソフトタイヤでスタート、3セット目は新品スーパーソフトでアグレッシブに進め、リカルド以上の自己ベストタイムを記録。7位入賞によってクビアトの2016年シーズンが開幕した。今季は1カ月後に母国ロシアGPだ。

☆☆☆ キミ・ライコネン
過去11回のバーレーンで2位4回、3位3回。勝ってはいなくとも優勝戦線に加わってくる。高低差15mあるコースで、とくにセクター2後半とセクター3が得意に見え、前後荷重移動バランスを感覚的につかみきる巧さが目立つ。あのスタート(!)は惜しかった。本人より代表のマウリツィオ・アリバベーネさんが、くやしがる。セバスチャン・ベッテル不在の危機に5回目の2位。ここの表彰台はシャンパンでなく現地産のローズ・スパークリングウォーター。ちょっと飲んだだけでノンアルコールは、お気に召さなかったか。

☆☆☆☆ パスカル・ウェーレイン
初めてだから堅実に、ミディアムタイヤを履いてコースを学ぶと同時に、マシン基本セッティングをフリー走行で続けた。これは正しいアプローチ。しだいにプッシュ、しばしば縁石で跳ねて乱れてもリアクションがすばやかった。予選16位は、もうマシンの“限界”タイム、2戦目の新人に大器を感じた。決勝13位で、自己ベストタイムがフェルスタッペンより上の6位を同じスーパーソフトで出しきるとは衝撃の一語に尽きる。

☆☆☆☆ ストフェル・バンドーン
急きょ決まったデビュー戦に臨む彼のアプローチも正しかった。3月12日鈴鹿でスーパーフォーミュラ初走行を取材したとき、着実で謙虚で冷静な態度を目の当たりにした。ドクターストップとなったアロンソが“コーチ”役、初マシンと初タイヤを把握して確実にセクター2と3が速くなる。予選12位、決勝10位。なによりミスがまったくない3日間は評価に値する。この72時間、レース人生初めてのプレシャーに耐えたのだから。



☆☆☆☆ ダニエル・リカルド
金曜日は「Q3は無理だろう」と弱気だったが、堂々の予選5位。最高速18番手でも中高速コーナーの横方向グリップを高めるセッティングが的中。エースとして、ますます手腕に磨きがかかっている。混乱のスタート1コーナーを緊急回避、フロントウイング破損で食い止め、傷を負ったマシンながら連続4位。現在メルセデス勢に次ぐ、ドライバーズランキング3位──。

☆☆☆☆ ロマン・グロージャン
すべてがうまくいった2戦目の5位入賞。1:タイヤが選べるグリッド9位を狙い、スタートで新品スーパーソフトを選択。2:混乱をさばき、1周目に6番手へ。3:11周目に再び同じ新品スーパーソフトを選び、ポジション確保。4:次は中古スーパーソフトをケア。5:締めのスティントは使用義務づけのソフトで17周。古豪ウイリアムズを2戦目チームが、かわした。これが『下剋上絵巻・第2章バーレーン編』の全貌だ。

☆☆☆☆☆ ニコ・ロズベルグ
5連勝に、五つ星を。フォーメーションラップ発進時、ダッシュパネルに「2」の表示が見えて一瞬止まった。2速セレクト・ミス、アンチストール作動、この失敗で気を引き締め直し、本スタートでは2番グリッドから「クイック・リアクション」を決めた。テレビ解説で申し上げたように、バーレーンの勝者は過去11回で8回チャンピオンとなっている。ラッキー・ジンクスのひとつを手に入れ、これから19戦、ロズベルグの挑戦譜が始まる。