国内レースシーンの本格的な幕開けを告げるスーパーGT第1戦岡山は、2016年のスーパーGTを占う上で大事な一戦となる。今回の開幕戦は全車ノーウエイト、ここでの速さが今シーズンを戦う各マシンのポテンシャルのベースとなる。
3月19日~20日に、ここ岡山国際サーキットで行われた公式テストでは、レクサス勢が揃って速さをみせた。いずれもドライコンディションで記録された2日間のベストタイムは、初日が6号車WAKO'S 4CR RC F、2日目が37号車KeePer TOM'S RC Fで、その他のレクサス勢も上位につけた。また、陣営は翌週に行われた富士スピードウェイでのテストでも38号車のZENT CERUMO RC Fがトップタイムを記録している。
今週末の岡山はいずれも好天が予想されているだけに、順当に行けばレクサスRC Fの何台かが上位を占める可能性がある。38号車を駆る立川祐路は「仕上がり具合としてはマシンも3年目ですし、基本的に大きく変わったものはないので、あとは細かいツメの段階ですね。ウチも仕上がっていますが、それはライバルも同じですから、ある意味差はないと思いますし、ちょっとのうまくいった、いかないが大きく響くと思います。テストとは違って意外に暖かいのでそれが明日どうでるか、それに対してすぐにアジャストできるかも勝負の鍵になると思います。でも、それをうまくやれば、勝てるチャンスでもありますね」と、あくまで表情は穏やかだ。
そのレクサス勢にとって最も脅威となりそうなのが、ニッサン陣営の12号車カルソニック IMPUL GT-Rだ。今年も安田裕信とジョアオ・パオロ・デ・オリベイラが乗り込む12号車は、岡山テストで4番手、富士でも何度かトップに名を連ねるなど、ポテンシャルの高さをみせている。昨年は、最終戦でタイトルを奪われただけに、今年にかける意気込みも例年以上だろう。
対して、ディフェンディングチャンピオンの1号車MOTUL AUTECH GT-Rは、テストを通してそこまで目立ったタイムをみせていない。だが、3連覇を狙う松田次生は「テストでは気温の関係もあってタイヤのフィーリングが合わなかった部分がありました。今回はだいぶ気温も上がってきているので、そこはミシュランも合わせてくれていると思います」とそれほど問題視していない。
一方、レクサスやニッサン勢に対して、テストのタイムで遅れをとった印象のあるホンダ勢は苦戦も覚悟の状況か。100号車RAYBRIG NSX CONCEPT-GTを駆る伊沢拓也は「2回のテストをみるとタイムに関してはすごくいい状態とは言えないですね。乗っている感覚はセットアップも含めて悪くないですが、いかんせんタイムが他のメーカーと比べて良くはないので、そこはホンダ全体として改善していかないと現状のままだと開幕戦は厳しい戦いを強いられるでしょう」と渋い表情だ。
それでも、8号車を駆る野尻智紀は「テストの結果ではレクサスやニッサン勢に水をあけられた感じはありますが、テスト自体は順調に進みましたし、今回も新しいことを持ち込んでいます。ロングランでは差も縮まっているという認識なので、ニュータイヤからロングランまでの落ち幅を少なくするようなセットアップ等に重点をおいて、レースをしっかり戦いたいです」とコメント。伊沢も「一発の速さはなくてもレースになれば戦える部分もあると思う。そこをうまくやっていきたいですね」と決勝での戦いに臨みをみせている。
岡山は抜きにくいレイアウトなのはもちろん、今年のテストで明らかになったGT300クラスのスピードアップも無視できない。いかにGT300マシンをうまくオーバーテイクし、集団でのロスを最小限に留めることができるのかも、速さと同様に重要な要素となるだろう。
テストの結果通り、レクサス勢やカルソニックといったブリヂストンタイヤを履くマシンが速さを見せるのか。それとも、ミシュランタイヤを履くチャンピオンが巻き返してくるのか。レースでのホンダ勢の戦いからも決して目は離せない。
スーパーGT第1戦岡山は、明日9日に激戦の火蓋が切って落とされる。