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スーパーGT開幕戦プレビュー:高速化するGT300。今季は例年以上にアツい戦い勃発

2016年04月08日 23:41  AUTOSPORT web

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MANEPA Lamborghini GT3
2016年のスーパーGTが明日開幕する。今年のスーパーGT300クラスには、メルセデスAMG GT3やBMW M6 GT3をはじめとする新型GT3車両が6車種登場。これら海外勢を新型プリウスをベースとしたTOYOTA PRIUS apr GTやマザーシャシー勢、スバルBRZといったJAF-GT勢が迎え撃つ形となる。今シーズンは昨年以上のハイスピードバトルが繰り広げられることとなりそうだ。

 オフシーズン中に岡山国際サーキットと鈴鹿サーキットで行われたテストでは、ランボルギーニ・ウラカンGT3勢がGT500クラスに迫るトップスピードを発揮。コーナリング性能も高く、マネパ ランボルギーニ GT3が岡山テストの2日目総合でトップタイム、富士テストの1日目総合では2番手タイムを獲得しており、仕上がりは順調なようだ。

 しかし、これらの結果は正式な性能調整(BoP)が決定する前のもの。開幕戦ではウラカンGT3に対し、GT3勢の中ではもっとも重い70kgのBoPが課されている。マネパ ランボルギーニの織戸は「(ウラカンGT3は)速いですが、レギュレーションで重くなってしまったので、それがどの程度響いてくるかですね。結構、車重が重いので、ウエイトは効いてきます。少し痛いですね」と厳しい表情をみせた。70kgというBoPが、マシンの加速やブレーキ性能にどこまで影響を及ぼすか注目だ。

 その織戸は「今年の岡山はマザーシャシーとプリウスが速いと思います。特にマザーシャシーは、どのGT3よりも速いと思います」と予想する。導入2年目を迎えたマザーシャシーはテストで見る限り、速さだけでなく信頼性も向上している様子が伺える。コーナリングマシンという特性を持つことから、テクニカルサーキットである岡山との相性も良いはずだ。



 また、昨年開幕戦を制したaprは、ZVW50型プリウスをベースとしたTOYOTA PRIUS apr GTを投入。岡山合同テストの初日は総合トップとなるタイムを記録しており、ドライバーの中山雄一も「プリウスの良さも残りつつも、今まで少し嫌だなと感じていた部分が改善されています」とマシンの手応えを語った。

「この3年間で蓄積したデータを活かして、ゼロから開発したマシンです。プリウス単体で言えば、確実にレベルアップしていると思いますね」

「ただ、プリウスも速くなりましたが、それ以上にGT3勢も速くなっている印象があります。ウラカンも速いですし、BMW(M6 GT3)も速い。アウディ(R8 LMS GT3)もダンロップタイヤにスイッチしているので、上位に来そうですね。フェラーリ(488 GT3)も、走りを見る限り速さがありそうです。レース本番では(上位に)来ると思います」



 しかし、AUTOBACS RACING TEAM AGURIの土屋圭市エグゼクティブ・アドバイザーは「(合同テストでは)どこも三味線を弾いている。プリウスもランボルギーニも実力を隠しているはずなので、どれくらいの速さなのか興味がある」とコメント。合同テストでは手の内を隠すことが定石となっているだけに、各チームが持つ真の実力への警戒感と期待感を示した。そのARTAは今季、マシンをBMW M6 GT3へスイッチ。しかし、今回の開幕戦はタイヤの面で厳しい戦いを強いられることになりそうだと土屋アドバイザー。

「ヨコハマ勢は(BMW)Z4時代のデータがあるけど、ブリヂストンにはない。半年くらいは厳しいかもしれない。でも、CR-Zも開発に1年位かかっているからね。開幕戦は6位狙い。6位以内に入ることができたらいいね」

 冒頭でも触れたとおり、ウラカンGT3をはじめとする新型GT3勢はGT500に迫る直線スピードを発揮しており、昨年以上のハイスピードバトルが繰り広げられることは間違いない。また、GT300のスピードが速くなったことで、GT500クラスの“抜かせ方”にも、さらなる技術が必要となる可能性もあり、GT500と絡んだ結果、セーフティカーが導入されることもあるかもしれない。そうなれば、マシンやドライバーの速さだけでなく、チームの総合力も勝敗を分ける鍵となってくる。さらに、今年からタイヤをヨコハマからダンロップへ変更したHitotsuyama Audi R8 LMSを警戒する声も聞こえており、タイヤ開発競争の激化も予想される。今年のGT300はあらゆる意味でアツいバトルが繰り広げられることになりそうだ。