過疎化が進む地方では都心部から移住者を集めようという試みが近年盛んに行われている。昨年12月の毎日新聞によると、2014年度に地方自治体の移住支援策などを利用して地方に移住した人は1万1735人。5年前の2009年度に比べて4倍以上に増えているという。
徳島県でも、「vs東京」を掲げ、「移住・定住による活力ある地域づくり」に取り組んでいる。4月4日には、移住のネックとなる「仕事の確保」の問題を解決するため、移住対象者向けに「地方創生推進員(県非常勤」の募集を開始した。しかし、その給与が安すぎるのではないかと批判が集まる事態になっている。
臨床心理士や看護師など資格が必要な業務も
募集要項によると、地方創生推進員の給与は日額6500円程度。勤務日数は月20日以内で、勤務時間は1日5時間45分以内となっている。時給に換算すると約1130円になるため、徳島県の最低賃金695円よりは高いといえるが、月収にすると約13万円にとどまる。厚生労働省の「2015年賃金構造基本統計調査」によると、徳島県の平均月収は27万2500円となっているため、半分以下ということになる。
業務内容としては73項目あげられているが、中には資格が必要になるものもある。たとえば、「中央こども女性相談センター」で相談業務に携わる際は「臨床心理士、心理カウンセラー、これらに準じる資格等」が必要とされる。「県民スポーツ課」でキャンプ地誘致に関する業務の場合は「英語又はドイツ語が堪能であること」と掲げられている。他に、狩猟免許や統計処理のスキル、保健師や看護師の資格が必要な業務もある。
また、非常勤なため任用期間は2017年3月29日まで。更新される可能性もあるということだが、不安も拭えない。そのため、ネットでは「賃金安すぎるやろアホ」と非難の声が噴出した。
「まさに官製ワーキングプアだな」「これどう考えても使い捨てだw移住してくれとかw」
「あのさぁ、本気で人を呼びたいならもうちょっと条件良くしろよ…誰が正規雇用でもないのに、6500円で移住するんだよ…」
担当者は「お試し移住として捉えてもらえれば」と説明、すでに応募者も
また、ネットでは「住むところは用意してくれるのか?」といった疑問の声もあがっていた。そこで、キャリコネニュースでは地方創生推進員の待遇について、県の地方創生推進課の担当者に話を聞いた。
まず、日額6500円程度となっている給与だが、これは県の非常勤特別職の基準に照らし合わせた給与なのだという。「程度」となっているため、業務の内容によって給与に違いはあるのか聞いたところ、「一律です」とのことだった。
また、月収が約13万円になるが、当然のことながら、ここから税金が引かれることになるので手取りはさらに低くなる。通勤手当は支給されるが、住宅手当はないとのことだった。そうなると、家賃や物価が都市部より安いとはいえ、生活は厳しくないのか。担当者に聞いてみたところ「若干厳しいかもしれない」と話していた。
ただ、副業は禁止ではないため、足りない分を稼いだり、残りの時間を定職に就くための活動に時間を充てたりしてほしいという狙いのようだ。
「まずは仕事を用意しているということで、住民票は移すことになりますが、お試し移住として捉えてもらえればと思います」
地方創生推進員だけで生活するには厳しい面もありそうだが、ネットには、「いいな 結構本気で行きたい もう東京で色んなしがらみの中生活すんの嫌だ」といった好意的な声も。地方創生推進課にも7日13時時点で若干名の応募が寄せられているとのことだった。
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