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GP topic:ザウバー危機が深刻化、モニシャ無断欠席でアルファロメオへの売却説も

2016年04月06日 14:41  AUTOSPORT web

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F1第2戦バーレーンGPを終えて、ザウバーの経営危機をめぐる噂が騒がしくなっている。

「マシンに何らかの問題があることは明らかだ。この件については、これから詳しく調べなければならないだろう。ベストは尽くしたけど、マシンに苦しめられて、この結果が精一杯だった」

 これはバーレーンGP決勝を14位で終えたフェリペ・ナッセの公式コメントだ。チーム公認のコメントですら、これだけ厳しい表現だったということは本人の口から出た言葉は、もっと過激なものだ。実際レース後にナッセを取材したブラジル人ジャーナリストによれば、現在ナッセのチーム批判は最高潮に達しているという。単にマシンの戦闘力不足という問題ではない。資金繰りに翻弄されて、まともにマシンを開発していないことへの苛立ちである。

 ザウバーの経営が現在、困窮していることは周知の事実。バーレーンGPには、チーム代表のモニシャ・カルテンボーンの姿がなかった。チーム代表がグランプリを欠席すること自体は珍しいことではない。しかし今回カルテンボーンは金曜日のFIA会見の出席者としてリストアップされていたが、当然そちらも欠席している(なお、ピレリのモータースポーツディレクター、ポール・ヘンベリーも理由は不明だが欠席)。

 F1では公式会見についてのレギュレーションも定められており、無断での遅刻や欠席には罰則が与えられる。しかし、FIAはカルテンボーンの欠席に対して、理由を聞いた上で、処分はなしと判断した。つまり欠席には、よほどの事情があったと想像できる。おそらく、チームの存続を賭けた瀬戸際の戦いだ。



 レース直後、ヨーロッパのメディアは一斉に「ザウバーが財政難で中国GPに参戦できないのではないか」という説を報じた。ザウバーに最も近いスイスの『スピードウイーク』は「F1界で4番目に長い伝統を持つチームが困窮していることは、もはや秘密ではない」とザウバーの経営が、かなり危険な状況にあることを示唆。フランス系の『グランプリ247』は「ザウバーは中国GP前に破産するのではないか」と、さらに直接的な表現だ。

 元テレビ解説者のジェームス・アレンは、さらに踏み込んだ見解を述べている。

「今後の選択肢は3つある。ひとつはアルファロメオへの売却。もうひとつはF1参戦を希望しながら落選した組織(たとえばプロドライブなど)への売却。3つ目はザウバーが所有する風洞施設に興味がある会社(アウディなど)への売却だ」

 現在ザウバーで仕事をしているスタッフは約300人。スイスの法律によって、従業員の職が保障されなければならないことを考えると、ザウバーを買収できるのは、アルファロメオが有力であるとアレンは報じている。

 ロータスはルノーに買収されて、チームが存続した。フィアットのセルジオ・マルキオンネ会長がザウバー買収に乗り出し、「アルファロメオ」の名前で復活させるのか。あるいは2008年のスーバーアグリのように、シーズン途中で撤退となってしまうのか。チームの本拠地があるヨーロッパラウンドが始まる前に、いまザウバーは懸命に生き残りをかけて戦っている。