日本をメインに、世界中でスポーツカーレースに参戦している小林賢二が、2016年5月26~29日にF1モナコGPのサポートとして開催されるポルシェ・モービル1・スーパーカップに出場することになった。
埼玉県さいたま市緑区で、歯科医院『こばやし歯科』を開業している小林だが、幼少期からポルシェ、そしてモータースポーツに憧れ、31歳にしてレースデビュー。ポルシェカレラカップ ジャパンに参戦を続け、さらにGTアジアやスーパーGT300クラスにも参戦。VLNニュル耐久シリーズに名門クレマーから参戦したほか、WEC世界耐久選手権にもスポット参戦した経験をもつ。
歯科医とはいえ豊富な資金があるわけでもなく、情熱と積極的な交渉で“夢”を叶えてきた小林は、日本を代表するジェントルマンドライバーのひとりと言える。ポルシェの経験は非常に豊富で、2013年には、当時モービル1・スーパーカップでしか使用されていなかったタイプ991のカップカーにも「日本人で最初に乗りたい!」とアブダビ戦にスポット参戦も果たした。
2015年シリーズは、旧式のカップカーが出場できるポルシェGT3カップ チャレンジに出場していた小林だが、今季の活動を模索している最中、13年のアブダビ戦で所属したMRS GTレーシングから「ケンジ、今年のモナコに出場するか?」というオファーがあったのだという。
かつてアイルトン・セナにも憧れ、ポルシェを愛する小林にとって、モナコでのスーパーカップ出場は、ぜひ叶えてみたい夢。悩んだ末、モナコ出場のオファーを受けることにした。
「いま、モナコで走るには3つの選択肢があります」と小林は言う。
「一昨年、久保田克明さんが優勝したグランプリ・ヒストリックはF1の前週なので、F1のレースウイークで走るためには、ひとつはF1ドライバーになること。もうひとつは、GP2かGP3に出場すること。このふたつはどうやっても実現できません」
「でも、ポルシェ・モービル1・スーパーカップならそれを実現できます。ポルシェが大好きで、セナが愛したモナコを走ることができるなんて、本当にスペシャルなことです。ただただ、そのレースに走りたい! という夢をもう少しで叶えられそうです」
モータースポーツへの飽くなき情熱で、本業をおろそかにせず寝る間を惜しんで毎晩のように師匠である織戸学の『130R YOKOHAMA』へ通い、シミュレータートレーニングを積み速さを磨いている小林。今回も「チームとの交渉をマネージャーなどを通さず、フライト、レンタカーやホテルの手配などをすべて自分で交渉しています」という。その姿勢は、織戸をはじめ仲の良いプロドライバーからも高く評価されている。
果敢な挑戦で“夢”を叶え続ける小林。世界最高峰であるポルシェ・モービル1・スーパーカップでの上位フィニッシュは非常に険しい関門だが、ジェントルマンドライバーの“日本代表”として、モナコでの健闘を祈りたい。