2014年からスタートしたGT3カーをメインとしたスポーツカーレース『スーパーカー・レースシリーズ(SCR)』は1日、2016年シーズンに向け、FIA-GT3車両のバランス・オブ・パフォーマンス(BoP)を撤廃するユニークなアイデアを発表した。
SCRはシフトの竹内浩典代表が中心となって2014年に立ち上げられたシリーズで、ヨーロッパのGTカーレースを参考に、ジェントルマンドライバーが参加しやすいレースとして行われている。メインカテゴリーは、世界中で幅広く活用されているGT3カーで、その他にもポルシェカレラカップカー、フェラーリチャレンジ等の車両が参戦している。
そんなSCRの2016年シーズンは、6月4~5日に第1戦を、8月20~21日に第2戦を富士スピードウェイで開催する予定だが、シリーズ開催に先立ち「3年目となる2016年は、さらに魅力あふれるレースシリーズを目指すべく、クラスIに参戦するFIA-GT3規格車両のリストリクターおよび車両重量に関するBoPを撤廃することを決定いたしました」と、GT3カーのBoPを撤廃すると発表した。
「このことにより、各スーパーカー本来の性能を大いに発揮できると同時に、富士スピードウェイ のメインストレート上においては300km/h超のハイスピードバトルの展開が期待できます」とSCRはリリースの中で綴っている。
GT3カーはBoPを施すことによって各車の性能を均衡化しているが、多くの車両がスーパースポーツカーをベース車としており、市販車よりもトップスピード等で遅くなっている場合がある。BoPを撤廃することでSCRが目論むとおり、ストレートで300km/h超のパフォーマンスを発揮する可能性がある。
このBoP撤廃について竹内代表に聞くと、下位クラスにあたるワンメイクカップカーが、GT3よりもストレートスピードで上回ってしまうことが理由のひとつだという。また、純粋に「せっかくジェントルマンドライバーが高いお金を払ってマシンを買ったのだから、本来のパフォーマンスを出させてあげたい」というのも理由だとか。
気になるのは、BoPを廃することでベース車の性能差が顕著に表れ、“ひとり勝ち”状態になってしまうのではないかということだ。ただ、これについては「主催者とエントラントで相談して調整する」という。
GT3カーのBoP撤廃は、世界でもあまり例を見ないものであり、GT3をリリースしているメーカーも、BoPありきでマシンを製作している部分もある。いったいどんなレースになり、どんな速さになるのか。今年のSCRは必見といえるかもしれない。