「夫は外で稼ぎ、妻は家を守る」という時代には、家事はもっぱら妻の役割でした。しかし、いまや夫婦共働きは当たり前。もしも夫婦で収入の逆転が起こったとき、家事分担はどう変わるのでしょうか?
全国アンケートをもとに日本人の実態を明らかにするクイズ番組「国民アンケートクイズ リアル日本人!」(NHK総合)が、3月23日に放送した調査結果は、とても興味深いものでした。(文:篠原みつき)
増やしたくない理由は「自分流のやり方があるから」
まずは20~50代の共働き世帯に「夫婦で家事分担をどうしていますか?」と聞くと、「妻の方が多い」と答えた人が78%という現状。そこで、年収350万円の妻が課長に昇進し、400万円の夫の年収を上回る450万円になったという設定を提示しました。
そして「妻の収入の方が多くなったら、夫の家事分担を増やしたい?」と妻たちに質問。「増やしたい」と答えたのは何%か、というのがクイズです。回答者の柴田理恵さんは、
「収入が増えるということは、責任も重くなり、お付き合いも多くなるでしょ?」
ということで「92%」と予想、厚切りジェイソンさんは「100%でしょ!」と断言しました。ところが、「増やしたい」と答えた妻は意外にも44%にとどまったのです。増やしたくない理由を見ると、女性のある本音が見えてきました。
1位が「(家事には)自分流のやり方がある」
2位が同率で「今の家事分担で満足」「自分でやった方が早い」
4位は「頼んでもどうせ断られる」
どうやら、夫の家事能力を信じていないことが伺えます。柴田さんは「最初から諦めてるじゃないですか!」と突っ込み、土田晃之さんは「自分のやり方でやってくれるなら、やらせるってことでしょ」と指摘。ちなみに5位は「収入で決めるべきではない」でした。
モリタク氏「男性の方が経済合理性で動いている」
この結果を受けて、脳科学者の篠原菊紀さんは妻の心理をこう分析します。
「基本的に、男性の手伝いに対して絶望してるんだと思います」
さらに男女の脳の違いを、男性は目的一直線で他のことが目に入らなくなる、女性は複数の仕事を同時に行う「マルチタスク」が得意なことを挙げて説明し、「どうしてもやり方が合わないことは多々あると思う」と解説しました。
一方、経済アナリストの森永卓郎さんは「給料が高い人が仕事をして、給料が低い人が家事をするのが一番効率的なこと」とした上で、「家事分担を増やすべき」が63%だった夫側の調査結果を見てこう解説しました。
「(夫は)自らやると言っている。男性の方が経済合理性で動いているということ。しかし妻の方から『お前は使いもんにならねえ』と言われている」
この後スタジオは「収入も家事もすべて女性に仕切られたら、夫の立場がなくなる! 家のことくらいやらせて」とか、「男が家長だと威張っていた家族は絶滅した」「男女平等というより、女性に従って生きていくしかない」などと、おもに男性陣の発言で盛り上がっていました。
任せたら口出ししないのは、会社のマネジメントでも同じ
確かに「他人に仕事を任せる」ということは、任せる側にも意外なストレスがかかるものです。自分が思うとおりにやってもらえることは稀だし、そのせいで自分がやり直すことも。二度手間になるからやめて欲しいと思う人もいるでしょう。
しかしそれは男性のせいではなく、女性のわがままではないでしょうか。洗濯やゴミ出しなど、夫にすべて任せて、そのやり方に口出ししないくらいの度量が必要です。それは会社のマネジメントでも同じではないでしょうか。
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