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S耐開幕戦:GT-R対決を制し24号車スリーボンド日産自動車大学校GT-Rが逆転勝利

2016年04月04日 13:01  AUTOSPORT web

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スーパー耐久シリーズ2016第1戦もてぎ5時間耐久レース/勝利を喜ぶ平峰一貴
スーパー耐久シリーズがツインリンクもてぎで幕を開け、4月2日(土)に予選が、3日(日)に決勝レースが行われた。ポールポジションを獲得したのは、藤波清斗/星野一樹/白井剛/青木孝行組の5号車Mach MAKERS GTNET GT-R。決勝レースでも星野がトップからレースを開始するが、ピット作業違反に対するドライビングスルーペナルティが、完璧に進んでいた流れを断ち切ってしまう。逆転優勝を飾ったのは、内田優大/藤井誠暢/平峰一貴組の24号車スリーボンド日産自動車大学校GT-Rで、チームと藤井は実に2年ぶりに勝利の美酒を味わうこととなった。

 25周年という節目のシーズンにおいて、年間エントリーの上限を撤廃したことによって、実に65台を集めることとなったスーパー耐久シリーズ。開幕戦にはうち3台が参加を取り消したとはいえ、ピットにはマシンがびっしり並ぶこととなった。土曜日早朝に行われたウォームアップで、その62台が一斉に走ったにもかかわらず、1分50秒310というレコードを上回るタイムを叩き出してきたのが星野だった。「たまたま引っかかったのが3台ぐらいで、クリアラップに近い状態だったので。(二組に分けられる)予選だったら、絶対に49秒台に入りますよ」と星野。

 実際に、Aドライバー予選でチームメイトの藤波が1分49秒642を出すと、Bドライバー予選を走った星野が1分49秒183にまで短縮し、ともにトップで合算タイムも文句なしのポールポジションを獲得する。

「何としてもポールが獲りたかったし、その意味では自分との戦いだったので、本当に良かったです」と星野。ちなみに、その星野のタイムに0.003秒差にまで迫っていたのが、22号車Clearwatar Racing by Mooncraft Carsのマクラーレン650S GT3を駆る加藤寛規だった。合算タイムでも2番手となり、モック・ウェン-サン、濱口弘とともにフロントローに並ぶことに。

 その他のクラスの予選トップは、ST-1クラスが星野敏/荒聖治組の777号車D’station Porsche 991で、ST-2クラスは大澤学/後藤比東至組の59号車DAMD MOTUL ED WRX STIで、ST-3クラスは堀田誠/阪口良平組の38号車MUTA Racing TWS IS350。そして、ST-4クラスは松井孝允/井口卓人/蒲生尚弥組の86号車TOYOTA Team TOM’S SPIRIT 86が、ST-5クラスは4号車芝谷純三/相原誠司郎/伊藤俊哉/河野利尚組のTHE BRIDE FITがトップとなった。

 決勝レースは5時間の長丁場。日曜早朝のウォームアップこそウエットコンディションだったものの、スタート進行を迎える頃には完全なドライコンディションになり、全車がドライタイヤを装着してグリッドに並んだ。

 グリーンシグナルの点灯と同時に鋭いダッシュを決め、星野が先頭で1コーナーに飛び込み、これに続いたのはモックをかわしていたスリーボンド日産自動車大学校GT-Rの藤井だった。「一瞬、一樹さんを抜いてしまおうかと思いましたが、長いレースなので何が起こるか分からないし、無理は禁物なので、とりあえず後ろに着いていけばいいや、と」と藤井。その後は大きな遅れを取ることなく、藤井は星野に続いて周回を重ねていった。

 Mach MAKERS GTNET GT-Rとスリーボンド日産自動車大学校GT-Rのスピードは、ほぼ互角。だが、その状況において、明暗を分けたのがペナルティだった。「給油中にホイールにレンチを差してしまって。すぐ抜いたんですけどね」とMach MAKERS GTNET GT-Rの尾本直史監督。これがピット作業違反と判定され、ドライビングスルーを科せられてしまったのだ。これでスリーボンド日産自動車大学校GT-Rが約30秒のリードを確保し、アンカーを務めた平峰が、しっかりキープしてフィニッシュ。

 Aドライバーの内田は、見事デビューウインを達成した。「でき過ぎです(笑)。とにかくチームに迷惑かけないように走っていました。今は最高の気分です」と内田が言えば、「新しくチームメイトになったふたりが、ほぼノーミスで走ってくれました。今までの優勝の中で、いちばん内容の濃い優勝になりました」と藤井はご満悦の様子だった。

 そして、3位はYUKE TANIGUCHI/峰尾恭輔/富田竜一郎/柳田真孝組の3号車ENDLESS ADVAN GT-Rが獲得し、GT-R勢が表彰台を独占することとなった。

 ST-1クラスはD’station Porsche 991を駆る、星野/荒組が優勝。序盤に星野がスピンを喫し、順位を落としたものの、代わってトップに立った51号車の細川慎弥/池田大祐/石原将光組にタイヤトラブルが発生。トップに返り咲いた後は、ドライバーふたりとも危なげない走りを見せていた。「S耐では初めての優勝。荒選手が頑張ってくれたおかげです」と星野。

 ST-2クラスは、4連覇に向けてDAMD MOTUL ED WRX STIが好発進。一度もライバルの追随を許さなかった。体制一新で挑んだ最初のレースだっただけに、大澤、後藤ともに第一声は「ホッとしました」と。特に後藤は「金曜日までは全然うまく走れなくて迷惑かけていたんですが、徐々に慣れてきました。これで少しだけプレッシャーから解放されました」と安堵の表情で語っていた。2位は下垣和也/松本武士/近藤説秀/伊藤勝一組の20号車RSオガワADVANランサーが獲得。

 ST-3クラスは、38号車MUTA Racing TWS IS350が悲願の初優勝。阪口がスタートと同時に後続を引き離し、大量に築かれた貯金を堀田がしっかりとキープすることとなった。「ようやく勝利の女神が微笑んでくれました、長かったですね」と堀田。2位は体調不良の山下健太を欠く波乱があったにもかかわらず、嵯峨宏紀と新田守男の駆る62号車DENSO Le Beausset RC350が獲得している。

 もっとも目まぐるしくトップが入れ替わったのがST-4クラスで、実に4台が先頭を走っていた。その中で最後に笑ったのは、村田信博/小河諒/元嶋佑弥/島谷篤史組の13号車ENDLESS ADVAN 86。「ここはブレーキに厳しいコースなんですが、そこはブレーキのエンドレスですから、うちはまったく問題ありませんでした」と村田は勝因を強調。2位はTOYOTA Team TOM’S SPIRIT 86が獲得した。なお、もてぎで3年間負け知らずだった、小林康一/ピストン西沢/塩谷烈州/蘇武善和組の58号車ウィンマックステインワコーズDC5☆KRPは、3番手に走行中にエンジントラブルでリタイア。また脇阪寿一/松田晃司/脇阪薫一組の52号車埼玉トヨペットGreen Brave 86もミッションにトラブルを抱え、早々にリタイアとなっている。

 そしてST-5クラスでは、第1スティントをTHE BRIDE FITが大量のリードを得たが、ピットでのロスもあり、一気に吐き出してしまう羽目に。代わってトップに立ったのは、大野尊久/梅本淳一/窪田俊浩/大賀裕介組の69号車BRP★J’S RACINGホンダカーズ浜松北みきゃんFIT。ディフェングチャンピオンの貫禄を見せ、「これが勝利の方程式! 運も良かったですけどね」と梅本は嬉しそうに語っていた。2位は谷川達也/井尻薫/野上達也/野上敏彦組の17号車DXLアラゴスタNOPROデミオSKY-Dが獲得し、自慢の好燃費を活かして、一時はトップを走行した。THE BRIDE FITは無念の3位に。