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北関東でお馴染み?「鬼ハンドル」「カマキリハンドル」改造自転車は違法なのか

2016年04月04日 10:32  弁護士ドットコム

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ハンドルの向きを曲げた「鬼ハンドル(鬼ハン)」や「カマキリハンドル(カマハン)」などと呼ばれる改造自転車が、3月中旬以降、ツイッターで話題になっている。「鬼ハン」は鬼の角のようにハンドルが上向き、「カマハン」はグリップの位置が高く、乗り手側に曲がったタイプだ。


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話題のきっかけは北関東出身と見られるユーザーの投稿。地元ではかっこいいとされていた、これらの改造自転車が東京ではまったく走っていなくて、「死ぬほど恥ずかしかった」という内容で、1万回以上リツイートされている。「懐かしい」「俺も乗ってた」などと呼応する人もいた。



気になるのは操作性だ。投稿された体験談の中には、鬼ハンの角度をつけすぎて「ブレーキ握れなくて死ぬタイプだった」や「カマハンにしちゃうと曲がれなくなるから困ったもの」といった、安全走行に疑問がつくコメントも見受けられる。



「鬼ハン」や「カマハン」など、自転車の改造はどの程度まで認められるのだろうか。交通関係の問題にくわしい和氣良浩弁護士に聞いた。



●「鬼ハン」「カマハン」も状況次第では違法に


「普通自転車の車体構造を規制する法律としては、『道路交通法施行規則(道交法規則)』があります。



この中では、普通自転車の車体の幅について『60cmを超えないこと(第9条の2第1項)』、『制動装置が走行中容易に操作できる位置にあること(第9条の2第2項)』などが規制されています。



ただし、ハンドルの形状を直接的に規制する法律はありません。つまり、鬼ハンドルやカマキリハンドルが直ちに違法になるわけではなく、幅60cmを超えるものやブレーキ操作が困難なものである場合に違法になります」



このほか、どんな改造が違法になる可能性があるのだろうか。



「道交法規則ではほかに、『側車を付していないこと』、『一の運転者席以外の乗車措置(幼児用座席を除く)を備えていないこと』、『歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないこと』などの規制があります。



裏を返すと、これらに反しない限り改造は許されることになります」



違法な改造自転車で事故を起こしたら、どうなるのだろうか。



「今までの裁判例の傾向から、賠償額が増額される可能性が高くなります。逆に賠償を受ける立場にある場合は、賠償額が減額(過失相殺)される可能性が高くなります」



●「合法」改造でも修理費が出ない可能性がある


「その他、改造車における論点として、修理費用の問題が考えらます。



自転車に限った話ではありませんが、改造車が事故を受けて損傷した場合、改造部分の修理費用について賠償を受けられるかどうかということです。



違法な改造を行っていた場合には、そもそも、その部分の修理費用は受けられません。



また、改造が違法ではないとしても、本来の効用との関係で(本来の効用とは異なるか否か、当該改造は必要なものといえるか)、過失相殺の法理が適用され、賠償額が減額される可能性が生じます。



つまり、鬼ハンドル、カマキリハンドル等の場合も、通常必要であるとは考えられないため、違法ではないとしても、乗車中に交通事故被害に遭った場合、改造部分の修理費用が認められる可能性は低いものと考えられます」




和氣弁護士はこのように述べていた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
和氣 良浩(わけ・よしひろ)弁護士
平成18年弁護士登録 大阪弁護士会所属 近畿地区を中心に、交通・労災事故などの損害賠償請求事案を被害者側代理人として数多く取り扱う。
事務所名:弁護士法人和氣綜合
事務所URL:http://www.wk-gl.com/