フェニックス・インターナショナル・レースウェイで開催されたインディカー・シリーズ第2戦。2日に行われた決勝レースは、昨年の王者スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が今季初勝利を挙げた。予選でアタックできず後方からのスタートになった佐藤琢磨(AJフォイト)は、15位でレースを終えている。
オーバーテイクの難しい1マイルオーバルでの戦いを制したのは昨年王者のスコット・ディクソンだった。ディクソンの通算優勝回数は39回目となり、アル・アンサーに歴代4位で並んだ。
4度王座についているディクソンだが、1シーズンに1勝以上を記録するのはこれで12年連続。11年連続でボビー・アンサー、エマーソン・フィッティパルディ、エリオ・カストロネベスの3人と並んでシリーズ歴代トップにあったが、ついに歴代単独トップに躍り出た。
太陽がターン1の新しいグランドスタンドに沈もうという夕方6時15分にレースはスタート。コースレコードでポールポジションを獲得したエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)はトップを守ったが、40周で右フロントタイヤにトラブルが発生してピットに向い、大きく後退。再びトップ争いに復活することはできなかった。
2番目にトップを走った予選3番手だったファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)は、第2スティントでカストロネベスとまったく同じトラブルに見舞われ、勝利のチャンスを失った。
1回目のピットストップで2番手までジャンプアップしたディクソンは、96周目に難なくトップへ躍り出ると、そのままゴールまでトップを守り通した。
250周のレース終盤、240周目にライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)がターン4の壁をヒットしてマシンの破片が散乱したが、イエローコーションは出ず。しかし、248周目に今度はルーキーのアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)が同じくターン4の壁に接触。今度はフルコースコーションとなって、レースはイエローのままチェッカーとなった。
「厳しい戦いだった。マシンは本当に速かった。最後にもう一度リスタートがあっても勝てたと思う。ストレートのスピードと、ピットストップのスピード、どちらでも僕らが今日は最強だった」とディクソンは語った。
2位は予選10位のサイモン・ペジナウ(チーム・ペンスキー)。開幕から2レース続けての2位で、ポイントリーダーの座に躍り出た。ランキング2位はディクソンで、両者の差は4点だ。
3位はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)。開幕戦は体調不良で予選ポールポジションを獲得しながら、決勝は走れず。開幕戦での獲得ポイントは僅かに1点だったため、今日の3位フィニッシュ=シーズン初表彰台で35点獲得はグッドニュースだ。
4位は予選2番手だったトニー・カナーン(チップ・ガナッシ)で、シボレーが1-2-3-4フィニッシュ。予選はトップ10スウィープだったから、ホンダ勢は決勝で奮闘を見せた。グラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン)が19番手スタートから5位でフィニッシュし、スタートで一気に5台をパスするなどアグレッシブなファイトを見せ続けたライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は、開幕戦が3位で、今回は10位と、2レース続けてトップ10入りを果たした。
レイホールは、「自分たちのマシンは決勝用セッティングが良かったが、ライバル勢のストレートスピードは5mphくらい速かったと感じていた。全力を出し切って戦い続けたんだ」とレース後に話した。
佐藤琢磨は、金曜日のプラクティスでクラッシュし、予選も予選後のファイナル・プラクティスもマシンの修理が完了せずに走れず。決勝日に特別に5分間の走行時間が与えられ、そこでフレッシュエンジンを搭載した決勝用マシンの安全を確認。20番グリッドからスタートし、15位で完走した。レース用セッティングでの走行が10周しかできなかった苦しい状況を考えれば、マシンを壊さずにゴールできた上に、5つものポジションアップを達成できたのは、チームとして大きな成果だった。開幕戦6位だった琢磨は、ポイントスタンディングで9位に踏みとどまっている。