アロンソ欠場で揺れた木曜日のバーレーンで、もうひとつ大きな話題となっていたのが、予選方式が変更されずにバーレーンGPでも継続されることに対する、ドライバーたちの反応だった。とくにグランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)のディレクターを務めているセバスチャン・ベッテルとジェンソン・バトン、ふたりの元チャンピオンたちは声高に現状を嘆いた。
「僕たちドライバーはルールを作るためにいるわけじゃないから、僕たちにルールを決めさせろなんて言うつもりはない。選手自身がルールを決定しているスポーツなんて他にもないからね。でもルールを作る人たちが自分たちの仕事を果たせないんだったら、システムを変えるべきだろう。オーストラリアで実施された予選は、明らかに何かが間違っている。それが変わらないというのなら、僕らが立ち上がる必要がある。そう感じただけだ」と、ベッテルは言う。
バトンは、F1関係者とファンへ向けて書簡を公開した理由を次のように説明した。
「僕たちは、存在感を示したくて声明文を出したわけじゃない。自分たちが無関心のままではいられなかったからだよ。このスポーツに情熱を注いでいることを、みんなにもわかってほしかったからだ。子供のころから、ずっとF1を見て、F1ドライバーになることを夢見てきたんだからね。ちょっと感情的なところもあるけど、理解してほしい」
ドライバーたちが危機感を募らせていることは、GPDAのメンバーではないハミルトンが、書簡を公開するにあたってGPDAメンバーとのミーティングに出席していたことでもわかる。
「今回のドタバタは、まさに現在のF1そのもの。あっちに行ったり、こっちに来たりしている。迷子になったらスタート地点に戻ればいいんだ。耳を傾けるのはチームじゃなく、ファンの声だよ」とハミルトンは主張する。
パドックで注目されているのは、金曜日のフリー走行終了後、21時から開かれるドライバーズミーティングだ。そのミーティングには、問題となっている新予選方式を発案したFIAレースディレクターのチャーリー・ホワイティングも出席する。
なお、ハミルトンはバルセロナでのテスト中、3月2日に開かれたホワイティングとの会合は欠席している。それについてホワイティングは「ルイスにも他のドライバーと同様、参加を呼びかけていた」と説明。「グランプリごとに開かれているドライバーズミーティングでは、どんなテーマでも自由に話し合うことができるのに……」と最近になってドライバーたちが声高に批判を強めていることを理解できない様子。本日のドライバーズミーティングでは、どんな話し合いが行われることになるのだろうか。