トップへ

Little Glee Monsterが全国ツアーファイナルで見せた成長 グループの新たな可能性を探る

2016年04月01日 18:01  リアルサウンド

リアルサウンド

Little Glee Monster

 Little Glee Monsterが3月27日、Zepp DiverCityにて全国ツアー『リトグリ 春のZeppツアー2016 ~Colorful Monster~』の最終公演を行った。


(関連:Little Glee Monsterが目指す、ボーカルグループとしての夢「学生のうちに武道館で歌いたい」


 このツアーは今年1月にリリースされた初のアルバム『Colorful Monster』を携えて、東京・大阪・名古屋という全国3都市のZepp会場で計4公演実施されたもので、チケットは全公演即日完売を記録。アルバムのオリコン週間ランキング4位に続き、彼女たちの現在の勢いを感じさせる結果となった。


 洋楽ポップス/R&Bのスタンダート色を取り入れたデビューシングル『放課後ハイファイブ』から、よりJ-POP的ポピュラリティを強めた結果、初のオリコンTOP10入り(6位)という快挙を成し遂げた4thシングル『好きだ。』までの流れで、同年代のファンを多数獲得したリトグリ。続くアルバム『Colorful Monster』ではライブの盛り上げに最適な「全力REAL LIFE」、Chara作によるセクシーなR&Bナンバー「Feel Me」、切ないラブバラード「小さな恋が、終わった」などその音楽性の幅をさらに広め、グループとしての懐の深さをアピールすることに成功した。


 そんな自信作を提げて実施された全国ツアー。東京では昨年後半のEX THEATER ROPPONGI、TOKYO DOME CITY HALLに続く大箱での単独公演とあって、ステージ演出もかなり凝ったものが用意された。オープニングではリトグリ初のオリジナル曲「HARMONY」のサビの歌詞が、ステージ前に垂らされた紗幕に映し出される。続いて6人のシルエットが投影されると、客席の熱気は一気にヒートアップ。男性の声以上に女性(というよりも女子)の黄色い歓声が響きわたる中、メンバー6人のアカペラによるハーモニーが場内を包み込み、そのままバンドが加わる形で「HARMONY」からライブをスタートさせた。


 ワンマンライブでは必ずギター、ベース、ドラム、キーボードの生バンドを交えた編成でのパフォーマンスを披露するリトグリ。この日もベテランミュージシャンたちによる安定感の強い演奏をバックに、6人は気持ち良さそうな表情でそれぞれの歌声を響かせた。1年前はTSUTAYA O-EASTで単独ライブを行なっていたことを考えると、その倍以上あるキャパの会場を満員にし、広いステージを堂々と、自由自在に動き回りながら歌い踊る6人の姿からは早くも貫禄すら感じられた。


 この日最初の見どころは、6曲目に訪れる。Charaが作詞作曲、サウンドプロデュースを手掛けた「Feel Me」でリトグリはアルバム同様に、実年齢以上のセクシーさ、気だるさが感じられるボーカルパフォーマンスを披露。続く「NO!NO!!NO!!!」ではステッキと椅子を取り入れたダンスで魅せる要素を強調し、グループとしての新たな可能性を提示した。特にこの2曲では、それまでの「全力のボーカルパフォーマンス」とはひと味違った、「(力の)抜き」の側面が感じられるボーカルが楽しむことができ、自分たちの歌をより自由自在に操ることができるようになったのでは?と驚かされた。


 その“抜き”の側面は、アルバムのハイライトである「小さな恋が、終わった」のパフォーマンスでも色濃く表れていた。オープニング同様、紗幕に歌詞が表示される中、ランプを手にしたメンバーが1人、また1人と登場し歌っていく様子からは、ある種神がかった清らかさが感じられ、鳥肌が立つ瞬間が何度もあったことは特筆しておきたい。続くゴスペラーズのカバー「永遠(とわ)に」でも、昨年12月に観たTOKYO DOME CITY HALLでのライブ(12月13日開催の『冬のガオフェス2015』)で聴いたときよりも肩の力が抜けた歌声を聴くことができたし、アルバムを境に彼女たちの意識面や技術面で大きな変化があったのではないだろうか。もしそれがアルバムでの成功による自信だとしたら、今回はそれが良い方向に作用したと言える。


 今回のツアーでの見どころにはもうひとつ、カバー曲をたっぷり取り入れた2つのメドレーコーナーがある。最初は“ワールドミステリーツアー”と題し、世界各国を象徴するような1曲をメンバーそれぞれがソロで歌っていくというもの。ビートルズ「Magical Mystery Tour」(イギリス)から始まり、「Mas Que Nada」(ブラジル)、「愛の讃歌」(フランス)、「Fantasy」(アメリカ)、「世界の国からこんにちは」(日本)、「ジンギスカン」(ロシア)、「No Woman, No Cry」(ジャマイカ)などを原語を取り入れつつカバーした。もう一方の“春のアカペラメドレー”では「仰げば尊し」から始まり、スピッツ「チェリー」、YUI「CHE.R.RY」、ケツメイシ「さくら」、レミオロメン「3月9日」などこの季節にピッタリな春ソング、桜ソングをアカペラで紡いでいった。かたや洋楽や古き良き日本のスタンダードナンバー、かたやJ-POPの王道ナンバーと、ファン層の幅広いリトグリならではのカバー選曲と言えるのではないだろうか。


 そしてライブ終盤には、リトグリの“次のステップ”をアピールする新曲も用意。すでに『ソニー損保』のテレビCMで一部を耳にすることができた「HAPPY GATE」は、従来のリトグリらしさをより押し進めた耳馴染みの良い1曲となってる。さらにMBS『みんなの甲子園』テーマソングにも採用されたもう1つの新曲「Never ending dreamer」は、ディレイの効いたギターフレーズが耳に残る16ビートのダンスチューン。こちらはリトグリの新たな可能性を感じさせる、攻めの1曲と言えるのではないだろうか。こういう楽曲がレパートリーに加わることで、ライブの組み立て方にもより広がりが生まれると、個人的にはそう確信している。


 メンバーのmanakaはライブ終盤に「2016年は1つひとつのことに対して、丁寧に向き合っていきたい」と宣言したが、この日のライブからは音楽やステージに対する彼女たちの強い意志を、単に力まかせでぶつけるのではなく、ちゃんと1人ひとりのリスナーに丁寧に伝えようとする姿勢が感じられた。結成から約3年、メジャーデビューから約1年半という短期間でここまで成長したリトグリの目標のひとつは、「メンバーみんなが学生のうちに日本武道館で歌うこと」。この4月から最年少のmanakaは高校1年生、最年長の芹奈、麻珠、かれんは高校3年生と全員が高校生になる。正直なところ、すでにZepp DiverCityのステージですら狭いと感じてしまった彼女たちの今のパフォーマンス力なら、満員の武道館を熱狂の渦に巻き込むことも想像に難しくない。4月1日からはメンバー出演のラウンドワン新CMがオンエア開始となるほか、5月11日に待望の5thシングル発売、9月には東京&大阪の野音でのワンマンライブや、全国7カ所を回るホールツアーが控えている。新たな章に突入したリトグリがこれからどこまで成長するのか、ただただ楽しみでならない。(西廣智一)