マクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソは、オーストラリアGPでの大クラッシュの影響で肋骨を骨折し、気胸が起きたため、FIAからバーレーンGPへの出場許可が下りなかった。しかし週末はバーレーンにとどまり、代役を務めるストフェル・バンドーンを含むチーム全体のサポートに徹したいと述べている。
木曜記者会見に出席したアロンソは、オーストラリア後の体調の変化について次のように説明した。
「(決勝の)日曜は問題なかった。膝は痛んだが大したことはなかったんだ。医師たちから帰っていいと言われ、何も問題がなかった。でも月曜、全体的に小さな痛みを感じた。ただ深刻なものではなかった。スペインに到着した時も痛みはあり、少しだけ強くなってきていたようなので、検査を受けることにした。CTスキャンだ。軽い気胸(注:肺から空気がもれて、胸腔にたまり、肺が空気に押されて小さくなった状態)が起きているのが分かった」
「医師からは自宅で静養し回復に努めるよう言われ、再度月曜にCTスキャンを受けた。気胸はほぼなくなっていたが、肋骨が骨折していた。そのため、走ることにはリスクがある。F1は独特なスポーツだ。マシンに独特な態勢で乗るし、Gがかかることでダメージが肺にも及ぶ可能性がある。足や腕を骨折した場合は痛みに対処できるが、臓器がある胸の中の問題なので、対処することができない」
骨折はGによるものかシートの破損によるものかという問いに対しては「アクシデントのGによるものだ。衝撃が原因だ」とアロンソは答えている。
あまりにも大きなアクシデントだったため悪夢を見るのではないか、という質問もなされたが、心理的な問題は一切ないということだ。
「悪夢は一切見ない。時々痛みがあるだけだ。ご存じのとおり肋骨が折れた状態だと、多少の動きで痛みが発生する。でも悪夢を見ることはないし、クルマに乗りたくてたまらない。今回走れないのが悲しい。チームからは『自宅に帰りなさい』と言われたけど、『絶対いやだ』と答えた。マシンの音が聞きたい。ストフェルを助けたい。マシンのアップデートがどう機能するのかを確認したいんだ」
2015年にはプレシーズンテストでのクラッシュによって開幕戦を欠場しており、2回大きな事故が続いたが、それについての懸念は「全くない」とアロンソは述べている。
「キャリアを通して自分はとても幸運だと思っている。今年はF1での16年目だ。何度かアクシデントを経験するのが普通のことだ。残念ながら2年続けて起きて、2年続けて欠場することになったが」
出場の許可は出なかったものの、このままバーレーンにとどまり、チームのサポートをするとアロンソは語った。
「オーストラリアのアクシデントはとても大きな衝撃を伴うものだった。だからバーレーンに出場することにリスクがあることは分かっていた。大クラッシュのわずか10日後だからだ。僕自身、やれるだけのことをやったし、チームは頑張ってこのレースのためにマシンの準備をしてくれた。だから最後の瞬間まで諦めたくなかった。昨夜飛行機に乗って今朝ここに着いた。少なくともプラクティスで試してみたかったが、(FIAの)見解は理解している」
「今週末ここに残ってストフェルを助けたい。彼にとって大きなチャンスだし、チームの助けにもなりたい。僕は自分の仕事を愛している。F1やレースを愛しているんだ。今回出場することはできないが、外から何かを学び取りたいと思っている。チームの準備の仕方や新しい予選システムの状況、決勝、戦略、ピットストップの瞬間をじっくり見ていく。外からあらゆることに関わっていきたい。それが次回復帰した時に僕の中で役立つだろう。僕らは一歩前進しなければならない。チームが先週頑張ってくれたことに心から感謝しており、彼らを助けたい」
次の中国には出場したいが、100パーセント復帰できるとは言い切れないとアロンソは言う。
「100パーセントではない。今後8日から10日の間に再び検査を受ける。その後、FIAが再度判断する。今回のようにね。何よりも安全であることが大事で、成績はその次だ。すべてがOKになることを願っているが、次のテストを受けてみるまでは分からない」
左の肋骨の骨折がこのまま治らないという懸念はないのかという質問も出たが、アロンソは時間がたてば治るため心配はしていないと答えた。
「治るよ。すでに気胸は治りつつある。ただ肋骨(の骨折)が起きてからあまり日がたっていないことが問題なんだ。完全にくっついてはいない状態だ。それが問題に発展する可能性がある。リスクはとても低いとはいってもね。呼吸に関しては一度も問題は感じなかった。リスクはごくわずかしかないけれど、それがゼロでなければならないというのは理解している。肋骨がよくなるのも時間の問題だから、心配はない。あと10日たてば大丈夫だろう。10日、5日、あるいは12日あればね。ただ保証はできない」