今週末、アルゼンチンのアウトドルモ・テルマス・デ・リオ・オンドでMotoGP第2戦アルゼンチンGPが開催される。アルゼンチンGPは今シーズン唯一の南米ラウンド。アウトドルモ・テルマス・デ・リオ・オンドでは今年で3回目の開催となる。
舞台となるアウトドルモ・テルマス・デ・リオ・オンドは、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスから、北西に約1000kmのところにあるテルマス・デ・リオ・オンドという街にあり、2008年に開設された新コース。2013年の5月にMotoGP開催を目的に改修工事が完成した全長4806メートル、1076メートルのストレートと、右コーナー9、左コーナー5のレイアウトで構成されており、1周の平均速度が167km/hという高速コースだ。
昨年のレースは、MotoGPクラスではマルク・マルケス(ホンダ)が逃げたが、タイヤチョイスの違いにより、終盤にバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)が追いつき、二人のバトルとなる。残り2周のバックストレート後、6コーナーの切り替えしで前にいたロッシのリヤタイヤと後ろにいたマルケスのフロントタイヤが接触、マルケスが転倒してリタイアとなる。このアクシデントは審議の対象となったものの、レーシングアクシデントとしてペナルティの対象とはならず、ロッシは開幕2連勝を飾ったが、後のセパンクラッシュにつながるアクシデントとなった。2位にアンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティ)、3位にカル・クロッチロウ(ホンダ)が入賞。Moto2クラスではヨハン・ザルコ(カレックス)、Moto3クラスではダニー・ケント(ホンダ)が入賞した。
今シーズンの開幕戦カタールではホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)が優勝。ロレンソは連覇に向けてスタートダッシュに成功した。テルマス・デ・リオ・オンドでは1年目に3位表彰台を獲得しているが、昨年は5位に終わっている。
「カタールで優勝し、いいフィーリングを得た。アルゼンチンは昨年は少し苦戦したコースだけど早く走りたいね。もちろん、足を地につけて取り組む必要がある。完璧な形でシーズンをスタートさせたけど、まだ、異なるレイアウトのコースでのバイクの挙動を理解する必要があるんだ」
「まずは新しい電子制御とタイヤを装着したバイクがうまく機能するのかどうかを確かめたい。とにかく、カタールのような始まり方は、自信をもたらしてくれる。優勝争いに再びトライするために懸命に働くモチベーションを高めてくれる。テルマス・デ・リオ・オンドはいいコースだから、アルゼンチンが楽しみだ」
カタールではマルク・マルケス(ホンダ)に競り勝ち2位に入賞したアンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティ)は、昨年2位に入賞したテルマス・デ・リオ・オンドに挑む。
「テルマスはロサイルとは完璧に異なるコースだ。でも現状のパフォーマンスからすると、次の数戦に向けていいベースを持っていると思う。今年はミシュランで初めて走るコースが多いから不確定要素があるが、デスモセディチGPはすでに十分に高い戦闘力を持っていると思う。テルマスでもトップ争いに加わりたいね」
初開催の2013年にポールtoウインを飾ったマルケスは、接触転倒、リタイアに終わった昨年の雪辱を晴らす構えだ。
「カタールで3位を獲得し、ポジティブなメンタリティでアルゼンチンに臨む。この結果は、シーズンスタート前には非常に予想が不可能だった。僕たちは週末を通じて、ホンダとチームと一緒に懸命によい仕事をしたから、レースで可能な限り強力にプッシュすることができた」
「カタールで見つかったセットアップがアルゼンチンでも機能するか確かめたい。僕たちにとっていい一歩となり、もう少しよい結果を獲得したい。アルゼンチンは好きなトラックで、いつも速かったからポジティブだよ」
昨年のウイナー、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)はカタールでは4年連続となる開幕戦表彰台を逃し、4位となったものの、昨年は優勝しているアルゼンチンで巻き返しの構え。
「アルゼンチンに行けることがうれしい。ここはいい思い出があるし、大勢のファンの情熱と愛情を感じられる。昨年は優勝することができた。同じ結果を繰り返すのは難しいけど、トライしよう。カタールは表彰台を獲得できなかったけど、いいレースだった。僕たちはウイークを通じていい仕事をした。アルゼンチンでは表彰台獲得が目標となる」
ダニ・ペドロサ(ホンダ)は、昨年は開幕戦終了後に腕上がりの手術を受けたため、アルゼンチンGPを欠場。テルマスでは2年ぶりのレースとなる。2014年には2位表彰台に立っており、コースに対する不安はない。
「カタールでは、ウインターテストと比較して、セットアップは一歩前進した。僕たちのペースはよくなり、レースではそのペースを維持することができた。過去の経験から、カタールの厳しいコースで右前腕がうまく耐えたことは、ポジティブ。現時点で上位陣とのギャップが大きいから、全体的なセットアップの改良が必要。昨年は欠場したけど、2014年にはよい思い出がある。好きなコースレイアウトだし、さらに前進したいね」
カタールでは予選3番手とフロントロウを獲得したマーベリック・ビニャーレス(スズキ)だが、決勝は6位に終わった。
「カタールの決勝では、オフィシャルテストと予選までの走りができなかったのが課題となった。マシンにはまだまだ改善の余地があるので、アルゼンチンではそれに取り組みたい」
今年からタイヤがミシュランに変わり、ECUのソフトウエアも共通化されたMotoGPクラス。第2戦アルゼンチンGPと第3戦アメリカズGPは2016年仕様マシンでのテストが行われていないコース。このことがレースにどう影響を及ぼすかに注目だ。
Moto2クラスは開幕戦で予選上位の複数のライダーがジャンプスタートのペナルティを取られる波乱の展開となった。その混乱を制したのがトーマス・ルティ(カレックス)。ルイス・サロム(カレックス)がMoto2初表彰台となる2位に入賞し、ベテランのシモーネ・コルシ(スピードアップ)が3位を得た。
ディフェンディングチャンピオンのヨハン・ザルコ(カレックス)、アレックス・リンス(カレックス)、サム・ロウズ(カレックス)、そして中上 貴晶(カレックス)は、ジャンプスタートに対するライドスルーペナルティを経て、ポイント圏内でフィニッシュした。昨年のMoto2クラスのウイナーであるザルコを始め、オフィシャルテストから上位につけたメンバーが、今レースでもトップ争いに絡むだろう。
Moto3クラスは開幕戦ではニッコロ・アントネッリ(ホンダ)が最後の最後に逆転で優勝、僅差でブラッド・ビンダー(KTM)、フランチェスコ・バニャーヤ(マヒンドラ)が続いた。トップから7位までがコンマ7秒の僅差という接戦は今年も変わらない。そして、ホンダ、KTM、マヒンドラの3車が接戦を繰り広げている。
尾野 弘樹(ホンダ)と鈴木 竜生(マヒンドラ)は、昨年に続いて2回目のテルマスでのレース。昨年は尾野が13位入賞、鈴木が27位で完走した。開幕戦のカタールでは入賞圏内でフィニッシュできなかった二人だが、2戦目でポイント獲得なるかどうかに注目が集まる。
アルゼンチンGPは日本時間金曜日の午後9時よりMoto3クラスのフリー走行1回目がスタート。決勝レースは、日本時間月曜日午前1時より、Moto3クラス、Moto2クラスの順でスタート、MotoGPクラスは午前4時スタート予定となっている。