就職活動や転職活動でもっとも緊張する瞬間といえば、採用の合否を知るときだろう。ナビサイトのマイページをクリックする手が震えたり、電話を取る手に汗をかいた経験がある人も多いのではないだろうか。
合否が分かるまでの間も心が落ち着かない。「結果は1週間後に連絡します」といわれた場合、採用なら報われるが不採用のときは、無駄に一週間緊張しただけに思えてしまう。ツイッターにも3月26日、こんな投稿が寄せられている。
「採用活動で不採用にした人への連絡、大抵は一瞬で判断ついてるのに『真剣に検討した』演出をするために無駄に数日置いてみたり、求人サイトの管理画面にも『○日後に自動的に不採用メッセージを送る』みたいな機能があったりするんだけど、求職者にとって迷惑極まりないからこの風潮どうにかしたい」
「無理なら無理って最初から言って!!!」
結果が不採用であるなら、早めに通知してくれた方が期待の高まりがない分気持ちの切り替えもしやすいし、他の企業の選考も受けやすいということだろう。この投稿には多くの賛同意見が寄せられた。
「無理なら無理って最初から言って!!!」
「ダメだったら一刻も早く次行きたいもんな」
面接のときに「絶対落ちたなと思った」という人は、その会社が翌日に不採用通知をくれたため、「神だと思った」と言っている。結果が不採用でも、通知が早ければその分早く次の会社を受けられるので好印象になる場合もあるようだ。
だが、実際、一瞬で不採用かどうか分かるものなのだろうか。また、不採用者にすぐ通知することは可能なのだろうか。
時間を空けるのは、不合格者に「心理的不快」を与えないため
リクルートやライフネット生命、オープンハウスで人事を担当し、今までに就活生や転職者延べ2万人の面接を担当してきた人材研究所代表の曽和利光氏は、次のように語る。
「一瞬とまではいきませんが、採用面接終了時には、不合格者の場合ほとんど判断がついています。そのため、すぐに不採用の連絡を入れることも実務的には可能です」
しかし、多くの企業では、「すぐに不合格通知が行くことは、心理的に不快な人がいるだろう」と考え、少し経ってから通知するようにしているそうだ。曽和氏も「客観的合理性には欠けますが」と指摘するが、通知が遅れるのは「心理的合理性を重視」した結果だと説明する。
また、そもそもの募集人数が少なく、厳選した上で一番良い人材を採用したいと企業が考えている場合は、「この人はとてもよい人だけど、あと候補者が○人いる。それを全部見てから決めたい」と考え、「合格保留者」にしてしまうこともある。
この場合、すぐに通知を出せず、また後の候補者に適任者がいればそちらが合格となるため、「合格保留者」には不採用通知が行くことになるが、このケースも多いという。また、合否の連絡はやはり合格者が優先になってしまう事情があると明かす。
「合格者には辞退されないように早く次々アポを取って、選考を進めて行きたいが、不合格者に不合格連絡を早くしなければならない会社側の事情はないので、どうしても優先順位が落ちてしまいます」
早めに通知が欲しければ、自分から期限を提示する
だが、求職者側にも都合がある。先に他社から内定を貰っていて、期日までに返事をしないといけないのに合否が分からないままであると、困ることもあるだろう。そういった、不採用の場合でも早く通知が欲しいと思ったらどうすれば良いのだろうか。
曽和氏は、「期限があるのであれば、応募者が『いつまでに結果がわかるとうれしい』と率直に言えばよい」と語る。中には、企業の方から他社の進捗状況を尋ね、求職者の都合に合わせて早めに連絡することもあるという。
求職者が不合格となっても、その後ビジネスの取引相手となる可能性もある。求職者に良い印象を与えるために、企業側もそういった気遣いが必要なのだろう。
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