世界ラリー選手権(WRC)に参戦するドライバーたちは、F1のGPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエイション)にあたる組織『WRCDA(ワールド・ラリー・チャンピオンシップ・ドライバーズ・アソシエイション)』の設立を目指している。また、GPDA会長のアレックス・ブルツはWRCDAとの連携に意欲を示した。
2月11日に開幕したWRC第2戦スウェーデンでは、一部のステージでドライバーたちが安全面に懸念があると強調したものの、オーガナイザーはこの意見を聞き入れなかった。そのため、ドライバーとコドライバーたちは、自分たちの意見を強く発信していく場としてWRCDAの設立を望んでいる。彼らは3月4日に開幕するWRC第3戦メキシコでWRCDAに関する議論を交わす予定だ。一方、選手権は官僚的なプロセスで物事を進める組織となっているため、関係者からはWRCDAが影響力を持つことは難しいとの意見も出ている。
しかし、GPDA会長のブルツはドライバーによる団体が存在することに価値があると強調した。
「こういった団体は、あらゆるシステムに影響を及ぼす」とブルツ。
「なかには、ドライバーの連合が問題を生み出し、事が進むことを妨げていると考える者もいる。それは間違いだ」
「競技のあり方を変えたいと望むのであれば、ドライバーの意見をまとめる場があることはきわめて重要なんだ」
ブルツは「ふたつの団体が協力するために、WRCドライバーと意見を交わすことを歓迎する」と述べ、GPDAとWRCDAの共同作業に向けた事前準備を整えていると明かした。
「WRCドライバーと話をした後、GPDAのメンバーとどういった支援ができるか議論するつもりだ。こういった活動は選手権を運営する側にも利益があることだよ」
また、ブルツはWRCDAの会長として、2001年のWRCコドライバーチャンピオンであるロバート・リードの名を挙げている。
「ロバート(・リード)はワールドチャンピオンで、現場で起きていることも熟知している」
「彼は(選手と運営側)両方の考え方を理解できるんだ。ドライバーたちは、マシンのセッティングを変えるように、すぐに変化が訪れると思っている。一方、運営側に携わっていれば、なにかを変えるには月日が掛かることも知っている。この両方の立場を理解できる人材が必要なんだ」
FIAのラリーディレクターでWRCマネージャーも務めるヤルモ・マホネンは、ドライバーと選手権との間にある問題を解決するべく、ラリー・メキシコでクルーと意見を交わす意志があるとしている。