新成人を対象としたオーネットの意識調査によると、「交際相手がいない」と答えた人は73.8%。20年前は50%でしたが、いまは4人に3人にのぼるのが現状です。さらに「いない」と答えた女性の41.1%が「恋人はいらない」と回答しています。
理由の1位は「趣味に力を入れたい」(49.5%)でしたが、「めんどくさい」(42.3%)の多さも目立ちます。そんな中、3月24日放送の「ウワサの保護者会」(NHK Eテレ)では、「恋愛しない子どもたち」をテーマに、恋人はいらないという女子たちの本音に迫っていました。(文:篠原みつき)
自分の恋愛よりも「コミュニティを守りたくて」
番組が中高生に訊いてみると、やはり「めんどくさい」「友達のほうがいい」とクールな答え。恋愛に積極的な姿勢は見られません。さらなる本音を探ろうと、「恋愛ネガティブ」を自称する女子大生10人を招集し座談会を開催すると、複雑な事情が見えてきました。
集まったのは、華やかで生き生きとしたキレイな女子ばかり。モテないとは思えません。彼女たちは「やりたいことが多すぎて、(恋人)1人に費やす時間がもったいない」「女性ひとりでなんでもできるから、男性が必要ない」など自立した価値観を持っています。
「男子がリスクを恐れ、100%成功する確信がないと告白しない」
と手厳しく指摘する声もありました。さらに好きな人がいたときの経験を、こう振り返る女子たちもいました。
「とにかくLINEがめんどくさい。1~2か月毎日していて疲れてしまった」
「2週間ぐらい続くと、ジョブ感が出て」
「(SNSで)やりとりしすぎて、会ったときには話題がない。ドキドキ感もない」
SNSで「つながることで安心感を得ている」若者ゆえに、「自分の恋愛よりコミュニティを守りたくて、恋愛しにくくなっている」という意見も。交際がバレたとき、既存のコミュニティが崩れる(たとえば誰かが傷つくとか)という弊害があるというのです。
母親が欲しいのは「大学の名前や職業、勤務先」というラベルなのか?
親の干渉も、恋愛を遠ざける一因になっています。フェイスブックで母親と友だちになっているという女子学生は、どんな男子と遊んでいるか把握され、「親に見せられるほどの男性じゃないと」と考えると、「もう男の子のことなんて」と諦めてしまうと言います。
さらに、いつも母親に「苦労しないでほしい」と言われている女子学生は、その言葉に含まれる意図をこう見抜いていました。
「(母親が欲しいのは)大学の名前や職業、相手の入った会社っていうラベルになっているのかな」
親から「その人、大丈夫?」と言われそうな相手とは、最初から付き合わないという人や、以前つきあっていた彼氏が高卒で消防士だったため、母親に「せめて大卒にしなさい」と言われた人もいます。これでは恋愛する機会自体が、どんどん失われていくことでしょう。
さらに、アニメが大好きで「結婚するならアニメに出てくる良い男子」と言い切る小学6年生の女の子が登場。よくよく聞いてみると、仕事人間で家庭のことはなにもしないお父さんに失望しているようです。
「お父さんみたいな人がいっぱいいると思うと、現実はイヤだなって思います」
せめて親世代は、子どもの邪魔をしないように
20年前と違い、若者を取り巻く環境が複雑化していて、「つながる便利さ」と引き換えに、しがらみを増やしている様子が大変だなと感じます。そんなに嫌ならSNSをやらなければ?と思いますが、それが今の若者の重要なコミュニティそのものだとすれば、簡単に否定はできません。
むしろ、反省すべきは過干渉な親でしょう。恋愛しないのはもちろん本人の自由ですが、したくても難しい社会環境、恋愛への憧れの抱きづらさも感じました。せめて親世代は、子どもの邪魔をしないよう心掛けねばならないようです。
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