今季からフェラーリで仕事を始めたジョック・クレアが、スクーデリアとともにF1世界選手権を獲得できれば、ルイス・ハミルトンやジャック・ビルヌーブと勝ち取った過去の成功よりも、さらに大きな喜びを感じられるだろうと語った。
辞職したエンジニアリングディレクター、パット・フライの後任として、クレアがフェラーリに加わることは2014年12月に発表されていた。当時、ハミルトンのパフォーマンスエンジニアだった彼は、2015年の7カ月間をメルセデスですごしたあと、2016年初めからこの新たな職に就くためにイタリアへ引っ越してきた。
クレアはビルヌーブがウイリアムズで選手権を獲得した1997年に、彼のレースエンジニアを務めた人物だ。そしてビルヌーブに招かれてBARへ移籍したあと、チームの名称がホンダ、ブラウン、メルセデスと変わっても、ずっと同じチームで仕事をしてきた。
「これからフェラーリの一員として獲得を目指す選手権タイトルは、私にとって新しいレベルのものになると思う」と、新天地でトラックサイドオペレーションの責任者となるクレアは語った。
「それは他のチームで勝ち取ったどのタイトルよりもうれしいものだろうし、このチームでは誰もが同じように考えている」
「選手権で勝つにはどうすべきかについて、私が知っていることだけでは、もう実際に選手権で勝つのは難しい。だから、私自身も成長していく必要がある。ここへ来ていきなり、『タイトルを獲るために必要なことはすべて知っている』などと言うつもりはないよ。いまや私の知識や経験では戦っていけないからだ」
「私はチームとともに成長していて、チームもフェラーリの名のもとに選手権を勝ち取る方向へ成長しつつあるという、確かな手応えを感じている」
また彼は、フェラーリでの自分の仕事は、大規模な改革というよりも細かい手直しをしていくことだと述べた。
「引き継いだレースチームにはすっかり感心させられている。(テクニカルディレクターの)ジェイムズ・アリソンが本当にすごい仕事をして、スタッフのモチベーションを高め、ポジティブな姿勢を植え付けたんだ。チームの誰もが積極的に仕事に関わろうとしているから、私もあまりストレスを感じずにすんでいる」
「チームは私が来るまでボンヤリとすごしたりはせず、自分たちの力で進歩しようと努めていた。私の職務は、トラックサイドオペレーションが効率良く機能するようにして、クルマの持つポテンシャルを存分に発揮させることにある。私たちは結果を出さなければならないんだ」