もうすぐ新入社員がやってくる。先輩社員は親睦を深めようと後輩を飲みに誘う機会もあるかもしれない。ただ、今の新入社員は仕事よりもプライベートを重視する傾向にある。
日本生産性本部が2015年12月に発表した「新入社員 秋の意識調査」では、「残業が少なく、平日でも自分の時間を持て、趣味などに時間が使える職場」を好むという回答が過去最高で81.1%を占めた。
また、プライベートを優先する以外にも、上司と飲みに行く「価値がない」という考え方もあるようだ。ゆとり世代の社会人が3月28日に「『なぜ、ゆとり社員は俺の飲みの誘いを断るのか』問題」というブログ記事を投稿し、話題になっている。
「絆を深める」と主張する人は「やっかいな飲み会原理主義者」
筆者は、「仕事嫌い」「プライベート大事」「職場の人間関係は最小限」をモットーに「元気に楽しく生きております」と語る。そのうえで、自分も同世代であるゆとり社員が飲みの誘いに乗らない理由を、
「あなた(上司)に人間としての価値がないからです。」
と説明している。筆者によれば、ゆとり世代は「役職」ではなく、喋り方や自分との接し方でその人の価値や魅力を見定める。そのため、自分にとって価値のない人には仕事上では敬意を持って接するが、飲みの誘いを受けたら断るのだという。
また、「そもそも『飲み会の力』を信じてない」と断言。「飲み会を通さずして何故人の魅力がわかるか!?」「飲み会で絆を深めるんだろうが!?」といった声に対し、そういう人は「やっかいな飲み会原理主義者」だと切り捨てている。
この記事に対しはてなブックマークでは、「まさしく」「すごく共感した。魅力がない上司の話なんぞ聞きたくないわ!」と賛同の声があがっていた。
誘う側は「知り合いとメシ食いに行く感覚」だと反論
また、「上司との飲みなんて仕事に等しい。本来は休める時間なのに気をつかわざるをえない」という人も。技術伝達や相互理解であれば就業時間内でやるべきであって、さらに会社が費用を負担する交流会であれば「歓迎できる」と意見を語った。
しかし、やはりこの考えに疑問を感じる人も多いようだ。特に、飲み会がビジネスにつながると考える人からは飲み会を肯定する声があがっていた。
「私は飲み会大事にしたい派。飲み会のおかげで仕事もやりやすいし、実際昇進にも影響があった。上司だって人間だからね。仲良くしたら自然と評価は割り増しになるのを実感」
「会社やめて独立して、いっぱい仕事くれる人は、会社員時代に一緒に飲みに行っていた人が圧倒的に多いよ。好き嫌いの問題じゃなく世の中そういう力学が存在すること自体は受け入れた方が得だよ」
誘う側も筆者の主張は腑に落ちないようだ。「知り合いとメシ食いに行く感覚で誘っているだけ」なため、「人間としての価値が云々言われる筋合いはない」という主張もある。「いちいち価値とか魅力とか推し量らんと人と接することもできんのか」と疑問を呈していた。
「仕事の挽回するチャンスが飲み会」の声に筆者身震い
筆者は29日にもブログを更新。普段の600倍のアクセスで驚いたようだが、「自分の本音に対する賛否両論もらえてで楽しかった」と感想を綴っている。特に、以下の反論には考えさせられたようだ。
「仕事ができない奴として周知され始めた新人に少しでも挽回するチャンスをやらねばと思い飲み会に誘ったらサクッと断られたときはこりゃダメだと思った」
公私ともに周囲とズレていく新人を誰もフォローできず、結局その新人は異動になってしまったという。このコメントには筆者も「さすがに身震いを禁じえなかった」と漏らしている。飲み会の是非を巡る議論はつきないようだ。
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