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『バットマン vs スーパーマン』高い支持から見える、日本におけるアメコミ・ヒーロー映画の定着

2016年03月29日 13:41  リアルサウンド

リアルサウンド

(c)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC AND RATPAC ENTERTAINMENT, LLC

 先週末の初登場1位は『映画 暗殺教室 -卒業編-』。土日2日間で動員54万4641人、興収6億3919万3900円と圧倒的な強さ。動員を公開館数の319スクリーンで割れば、2日間ほぼ満席状態が続く大ヒットとなったことがわかる。興収も、昨年、実写の日本映画としては年間4位となる興収27.7億円を記録した『映画 暗殺教室』の公開週の週末2日間比で実に155.6%。シリーズの浸透、前作ではノー・クレジットで声のみの出演だった二宮和也のスクリーン登場など、前作からの大幅アップには様々な要因が考えられるが、週末の劇場をリサーチした限りでは男女を問わず小・中学生の観客も目立っていた。低年齢層にまでリーチしたとなると、この強さは本物だ。前作超えは当然として、30億を超えてどこまで伸びるかに注目したい。


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 全世界興収では公開3日間で4億2,410万ドル(約509億円)を稼ぎ出し、3月公開作品の新記録を樹立、さらには『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』を超えるアメコミ・ヒーロー映画の初動記録まで更新した『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』だが、日本では土日2日間で動員23万1377人、興収3億7125万4400円と、動員では4週目の『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』にも及ばず初登場3位となった。


 もっとも、この数字は前作にあたる『マン・オブ・スティール』(2013年)の138.4%。シリーズとしては分断されているが、同じワーナー・DCコミック作品としては『ダークナイト・ライジング』(2012年)の初週土日興収3億7202万4700円とほぼ互角の初動である。ブランド的にはスーパーマンよりもバットマンの方が強いのは周知の通りだが、ワーナーの目論見通り、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』はスーパーマン興行ではなくバットマン興行に近い推移が期待できそうだ。『ダークナイト・ライジング』の最終興収は19.5億。本作でもし20億を突破すれば、今後『ジャスティス・リーグ』へと続いていくシリーズの未来にも弾みがつく。


 アメリカ本国では批評家からの酷評も続出しているものの、大多数の観客は熱狂、興収では期待通りの記録的ヒットとなっている『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』は、このジャンルにおいて批評よりも原作ファンを中心とする観客からの支持がいかに重要かを証明してみせた。今年はこの後も『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(4月29日日本公開)、『デッドプール』(6月1日公開)、『X-MEN:アポカリプス』(8月日本公開予定)、『スーサイド・スクワッド』(9月10日日本公開)、『ドクター・ストレンジ(原題)』(12月日本公開予定)と続くアメコミ・ヒーロー映画だが、映画的には欠点も散見される『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』に対する日本の観客の好リアクションからは、ようやく日本でもアメコミ・ヒーロー映画のファンベースが固まりつつあることが伝わってくる。(宇野維正)