2016年03月28日 11:12 弁護士ドットコム
日銀が金融機関から預かっている当座預金の一部にマイナス金利を適用する「マイナス金利政策」が2月中旬に始まり、1か月あまりが経過した。日銀は3月24日、金融政策決定会合(3月14日、15日開催)の主な意見を公表した。
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「マイナス金利」は、各銀行が日銀に預金を預けると、預金額に応じて日銀が銀行から金利分を徴収するという仕組みだ。一般の預金者からは、預金金利の引き下げといった暮らしへの影響について、不安の声が出ている。
報道によると、会合の意見では、金利低下について「制度の設計段階で考えていたとおりの効果が表れた」といった肯定的意見がある一方で、「銀行の収益悪化につながる」といった否定的意見もあったという。
マイナス金利は、われわれの生活にどんな影響を与えるのか。ファイナンシャルプランナーの資格を持つ三宅伸税理士に聞いた。
「マイナス金利導入の目的は、市場に流通するお金を増やし、物価を上昇させ、一方で円安に誘導することです。ただ、実際の経済の動きは不安定です」
三宅税理士はこのように述べる。暮らしには、どんな影響があるのか。
「マイナス金利の影響がはっきりとあらわれるのは、様々な金利の低下です。金利が下がることは、私たちの暮らしに、プラスとマイナスの両面の影響があります。
プラス面では、住宅や自動車を買う際に組むローンの利息が減ります。すでにローンを組まれている方、近い将来に住居や自動車などの大きな買い物を考えている方は、プラス面の恩恵を受けられそうです。すでに各銀行は、住宅ローン金利を過去最低水準に引き下げています。
主要銀行8行の2月の借り換え申込件数は前年同月比2.5倍に増えています。その反面、住宅の価格は上昇傾向にあります」
マイナス面については、どうだろうか。
「マイナス面では、銀行にお金を預ける際に得られる利息が少なくなります。
預金金利が低下したことにより、資産運用大手11社はMMF(マネー・マネージメント・ファンド)の運用をやめ、資産を投資家に返す方針を固めました。一時は残高が20兆円を超えた人気投資信託が事実上、姿を消します。
生命保険では、貯蓄性を重視した一時払い終身保険の一部販売を取りやめる動きが広がっています。
そのような中、運用先として無リスクで無難に運用できる個人向け国債・変動金利10年満期型が優れているといえます。
また、銀行は外貨商品の充実、Tポイントの導入など、今までとは違う商品や付加価値の提供を始めています。
資産運用については、今までと違う方法を考えていかなければならないかもしれません。ただ市場や景気への影響は定まっておらず、今後の慎重な判断が求められているのが現状です」
三宅税理士はこのように述べていた。
【取材協力税理士】
三宅 伸 (みやけ・しん)税理士
大阪府立大学経済学部卒業後、大手リース会社勤務。仕事、育児、勉強を両立しながら大阪の税理士法人に勤務。2014年11月、大阪・堂島で三宅伸税理士事務所を開業。誠実であること、素直であること、常にお客様の立場に立って考え活動している。
事務所名 : 三宅伸税理士事務所
事務所URL: http://miyake-tax.jp/index.html
(弁護士ドットコムニュース)