2016年は、昨年からの移籍が少ないシーズンだ。ルーキー3人と復帰組2人、レギュラーでは唯一移籍したロマン・グロージャンを除いて、昨年から継続して参戦している16人のドライバーが同じチームでF1を戦っている。しかし、彼らの頭部を保護するヘルメットは全員が昨年と同じではない。
現在、F1ドライバーにヘルメットを供給しているメーカーは全部で4社。シェアの多い順に紹介すると、アライ(日本)、ベル(アメリカ)、シューベルト(ドイツ)、スティーロ(イタリア)だ。近年F1のヘルメットはスティーロを除く3社が独占していた。スティーロがレギュラードライバーのヘルメットとしてF1に参入してきたのは2015年。昨年デビューしたフェリペ・ナッセが愛用するメーカーとして登場した。
2016年はルーキーのジョリオン・パーマーもスティーロを使用。さらに昨年までアライ・ユーザーだったバルテリ・ボッタスも、今年からスティーロを着用している。ボッタスはヘルメットを変えた理由を明らかにしていないが、アライはドライバーに対してヘルメットの供給以外に、契約金など特別な報酬を支払っていないため、スティーロ側が宣伝のためにボッタスに契約金を提示したと推測されている。
ボッタスとは逆のケースが、フェルナンド・アロンソだ。昨年までシューベルトのヘルメットを使用していたアロンソは今年からアライを使っている。シューベルトはアロンソがフェラーリへ移籍したときから、ヘルメットの使用に対して契約金を支払っていると言われているので、今回アロンソは契約金を捨てて、アライへ変更したことになる。
アロンソに近い、ある関係者によれば「フェルナンドはF1にデビューしたときに愛用していたヘルメットを、もう一度かぶりたかったんだと思う。それは自分のF1キャリアが、そろそろ終わりに近づいていると感じているからだろう」と語っている。
今年でF1ドライバーとして15シーズン目を迎えているアロンソ。現在マクラーレン・ホンダとは2017年シーズン末まで契約があると言われているが、チームが低迷していることもあり、移籍や休養、引退などの噂が絶えない。アロンソは16年目に向けて、どんな選択をするのだろうか。