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KAT-TUN、4人編成からの“卒業”ーー青春に区切りをつけた、田口脱退前のテレビラスト出演

2016年03月27日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 3月25日は、KAT-TUNとファンにとって、特別な1日だった。3月末でグループからの脱退と、ジャニーズ事務所の退所を発表していた田口淳之介が、KAT-TUNとしてテレビ出演する最後の日となったからだ。『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)の生放送、そして『KAT-TUNの世界一タメになる旅!』(TBS系)の最終回。4人のKAT-TUNをテレビで見られるのは、これがラスト。KAT-TUNは田口が脱退後、亀梨和也、上田竜也、中丸雄一の3人でのドームツアーを行ない、無期限の充電期間に入る。次にグループとしての姿を見られるのがいつになるかわからないため、この時間が終わらないで欲しいと願いながら、画面を見つめたファンも多かったのではないか。


(関連:KAT-TUN 田口淳之介、最後の『Mステ』出演でコメント 「これが終わりじゃなくてスタート」


 『ミュージックステーション』では、司会のタモリの振りに応える形で、田口の持ちネタ「入口出口田口です」が飛び出し、笑いを誘うシーンも。「これが終わりじゃなくてスタート」と、田口は常に笑顔で前向きなコメントを続けた。ライブパフォーマンスは、デビュー曲の「Real Face」と、そのアンサーソングである「君のユメ ぼくのユメ」を披露することに。メンバーの強い願いから、「Real Face」を作詞したスガ シカオが書き下ろしたという新曲だ。タイトルはメンバーが考えたという逸話も発表されている。


 そんな思い入れの強い2曲のメドレーとあって、メンバーから発せられる熱量もすさまじかった。中丸の力強いヒューマンビートボックスが、デビュー時よりも確実に進化を遂げていることがわかる「Real Face」。上田が田口の肩を抱き、ラストパフォーマンスを噛みしめるように歌った。続く「君のユメ ぼくのユメ」になると田口がステージからはけ、感極まった上田が背中を向けて涙を拭うシーンも。桜が舞い散る中、少し震えた声で熱唱する3人。その姿は、まるで卒業式のようだった。巣立つ友に向けて、そして新しい一歩を踏み出す自分自身に向けて、精一杯の思いを込めた歌声は、視聴者の心に切なく響いたことだろう。歌い終えた亀梨は、肩を揺らすほど息を切らし、完全燃焼した表情だった。


 エンディングでは、手のかかる弟をかわいがる兄のように亀梨が田口の頭をくしゃくしゃになで、「3人にも頑張ってもらいたいし、僕も頑張らないとなって」というコメントにも、すかさず「安心してください、頑張りますよ」と返答。また、田口が上田に「泣いてんなよ」とツッコミを入れる姿は、卒業式で涙を流す同級生をいじるそれに似ていた。そんな軽妙なやりとりも、最後までKAT-TUNらしいのひとことだ。


 そして、『ミュージックステーション』が卒業式なら、その数時間後にオンエアされた『タメ旅』はまるで謝恩会のような愛にあふれた時間だった。2年にわたって本音で旅をしてきた彼らにとって、この番組は多くを学んだ教室であり、長い時間を過ごした番組スタッフは恩師のような存在だったのではないか。


 ヘリコプターに乗り込み、東京の空を旅する最終回。TBSの上に差し掛かると、局員からのメッセージとして「このバカタレが!」という横断幕が見えた。この言葉、KAT-TUNを愛するファンならきっと同じ気持ちだったはず。「心配かけやがって」と叱りたい気持ちと「しっかりやれよ」と激励が入り混じった親心だ。さらに、ファン400名からも「KAT-TUN充電だよね?」「放電するなよ!!」のパネルメッセージが。「絶対戻ってくるぞ」「放電しねぇよ」と奮起するメンバー。いつも番組内でメンバーに無茶振りをしていた天の声も「頑張れよ、お前たち」と何度も発破をかけ、門出を見送った。エンディングの「KAT-TUNは、まだ旅の途中」というテロップにも、番組側から彼らへの愛情を感じた。


 デビューから10年。KAT-TUNという青春時代にひとつの区切りがついた。卒業のあとには、新たな世界が広がっている。上空で、田口が「3人のライブが成功しますように」と祈ったように、ドームツアーがある。さらに5月以降は、ソロ活動の充実させ、再びKAT-TUNとして集結したときに、パワーアップした彼らに出会いたい。その日が1日も早く来ることを期待しよう。そして、新しい道に進む田口にも、この決断をしてよかったと思えるように、幸せになってほしい。そうじゃないとハイフンは許さないだろう、このバカタレが!(佐藤結衣)