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アマゾン「お坊さん便」に全日本仏教会が猛反発、「お布施」と税金の関係

2016年03月26日 11:12  弁護士ドットコム

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アマゾンで手配できる僧侶派遣サービス「Amazonお坊さん便 僧侶手配サービス」について、全国の仏教団体でつくる「全日本仏教会」は3月4日、販売中止を求める文書をアマゾン・ジャパンに提出した。


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このサービス自体は、葬儀の仲介を手掛ける「みんれび」が提供するもので、定額のお布施で僧侶を手配して、戒名や法名も付与している。寺院と付き合いの薄い都市部の住人や、金額のあいまいなお布施の煩わしさを嫌う人から人気を集めているそうだ。



全日本仏教会は、特に定額のお布施に強く反発しており、「『お布施』は僧侶の宗教行為に対する対価」ではなく「定額にすることによって『お布施』本来の宗教性を損なう」と批判しており、戒名や法名も商品ではないと主張している。



これらの主張に対して、宗教や文化的な観点ではなく、税金の観点から分析した報道も出ている。2015年12月26日の朝日新聞デジタルでは、税制優遇の根拠が揺らぎかねないことを仏教界が懸念していると報じている。



弁護士ドットコムニュース編集部がみんれびに確認したところ、お坊さん便は税込価格になっていて、消費税がかかっている。一般的に、お布施にはどのような税制優遇があるのだろうか。お坊さん便は何か違いがあるのだろうか。久乗哲税理士に聞いた。



●宗教行為であれば法人税の対象にはならない


「法人税法上、宗教法人は公益法人等に区分されます。公益法人等は収益事業だけが法人税の対象になります。一方、消費税法では、法人税法のように法人の区分による差はありません。事業として、何らかの対価を得て行われる資産譲渡や貸付、サービス提供は消費税の対象になります。



宗教法人が行う宗教行為については、収益事業ではありませんので法人税の対象にはなりません。例えば、お賽銭や初穂料、お布施は、喜捨金として法人税の対象にはなりません。また、値段が表示されているものとはいえ、お守りやお札も宗教行為の一環であり、喜捨金として法人税の対象にはなりません。



法人税法上、喜捨金として扱われるものについては、価格が表示されていたとしても、渡す側が対価性、つまり見返りを求めるわけではないとみなされるため、消費税の対象にもなりません。



一方、絵はがきやクリアファイルの販売、ガレージの貸付などについては、モノやサービスを販売していて、収益事業に該当しますから、法人税の対象になると同時に、対価性があるということになり、消費税の対象にもなります」



では、お坊さん便をどう考えればいいのだろうか。



「Amazonのお坊さん便は、宗教法人が営む事業ではありません。あくまでも、お坊さん便を運営する『みんれび』がお坊さんを手配する事業になりますので、その事業は法人税や消費税の対象になります。



宗教法人が営む事業が収益事業かどうかについては、イコールフィッティングという考え方があります。一般の事業者が行える事業を宗教法人が行った場合には、課税の公平の実現のために、収益事業だとする考えです。この考えに基づいた判例としてペット葬祭業が収益事業か否かが争われた2008年9月12日の最高裁判決があります。



お布施はそもそも六波羅蜜の一つです。一般的にお布施と呼ばれるものはそのうちの財施になります。財施はお坊さんが受け取るものでも宗教法人が受け取るものでもありません。ご本尊に捧げるものです。そういった意味でも、Amazonのお坊さん便への支払は、厳密に言えば、お布施ではないということになるのではないのかと思います」



久乗税理士はこのように話していた。



【取材協力税理士】


久乗 哲 (くのり・さとし)税理士


税理士法人りたっくす代表社員。税理士。立命館大学院政策科学研究科非常勤講師、立命館大学院経済学研究科客員教授、神戸大学経営学部非常勤講師、立命館大学法学部非常勤講師、大阪経済大学経済学部非常勤講師を経て、立命館大学映像学部非常勤講師。第25回日税研究賞入選。主な著書に『新版検証納税者勝訴の判決』(共著)等がある。


事務所名 :税理士法人りたっくす


事務所URL:http://rita-x.tkcnf.com/pc/


(弁護士ドットコムニュース)