いつの時代も、親との付き合い方は難しいものだ。人格に問題がある親だと子どもも苦労するが、最近は子どもの人生に強く干渉し、悪影響を与える親のことを「毒親」、特に母親のことを「毒母」と呼ぶのだという。
3月21日放送の「生命38億年スペシャル 最新遺伝子ミステリー『人間とは何だ…!?』」(TBS系)で、毒母の実態が紹介され、ネット上で話題となっている。
原宿カウンセリングセンターでは、毒母に育てられ、現在も苦しむ女性たちにカウンセリングを実施している。同センター所長の臨床心理士の信田さよ子さんは、「母親との関係に苦しむのは娘。異性である息子よりも娘の方が母親の影響が強い」と語る。
「あなたにぴったりの相手はお母さんが見つけてあげる」
37歳のシングルマザーの香織さん(仮名)は、離れて暮らすようになった今も母親に怯えている。「私は母の所有物だった。母がどう思うか、言うかで色んな選択肢を決めてきた」とこれまでの人生を語る。
子どものときは母親が決めた友達としか遊べなかった。気に入らない子どもと遊ぼうとするものなら「香織が中学受験すると知っていて遊びに誘うのは失礼」と激怒。母親の命令で、香織さんは友達に電話をし「もう遊ばない」と言うしかなかった。
大学生になり、彼氏を紹介した際には「あなたには合ってないわ、やめなさい。あなたにぴったりの相手はお母さんが見つけてあげる」と言われた。香織さんは、「母は私を自分の分身のように思っている」と語る。
異常なまでの過干渉だが、こうした母親の心理を信田さんはこう解説する。
「娘はこうなってはいけないという思いが過剰な干渉になる。人生をリベンジしたいという、母親自身の欲望の身代わりとして娘を使っている」
大事なのは娘の方から距離をとり、連絡を減らすこと
46歳の女性は、娘の楽しみを奪うことでしか生きがいを感じられない母親に長年苦しめられてきた。小学生のときには、誕生日にパーティーを開くと言って娘を喜ばせておきながら、直前になって理由もなく中止。さらに、友達をパーティーに招待した娘を「嘘つき」呼ばわりしてきた。
高校を卒業して就職で地元を離れてからも、母親が職場に毎日電話をかけてくる。それが原因で会社に居づらくなり退職。結局母親のいる実家に戻ってしまった。「ひどい目に遭った場所になぜか戻ってしまう」と語る。
信田さんはこうした毒母と娘の関係性について、「トラウマを与えた人と与えられた人には、奇妙な、歪んだ絆ができる」と説明。その上で、毒母との付き合い方として、
「娘の側から母と距離をとるのがいい。具体的には、住む場所を離れ、連絡を減らす。どのくらいの距離がいいかは娘自身で考える事」
とアドバイスしていた。
「過剰な期待でプレッシャーかける」「『正しい』と決めつける」もNG
番組では、「毒母チェック」として以下の10の項目を紹介。3つ以上当てはまれば要注意だという。
(1)言うことに疑問・同意しないことは許さない
(2)過剰な期待をかけプレッシャーをかける
(3)望み通りになるように指図してばかり
(4)学校・仕事・恋人を選ぶ時に介入する
(5)親子の縁を切るといって脅したことがある
(6)「バカ」「醜い」など罵ったことがある
(7)いつも自分が中心でいたい
(8)「正しい」「正しくない」と決めつける
(9)自分の誤りを認めようとしない
(10)批判されることに敏感
ツイッターでは、これが話題になり、「自分の親が5番以外全部当てはまってる」「僕の両親は全部当てはまるので間違いなく毒親」といった声が挙がっていた。
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