ピレリが未定となっていたモナコGPのタイヤを発表した。F1で最も平均速度が遅い市街地サーキットに投入されるタイヤは、軟らかいほうからウルトラソフト、スーパーソフト、ソフトの3種類。ウルトラソフトは今シーズンからラインアップに追加された新しいコンパウンドで、モナコGPがデビュー戦となることが決まった。
タイヤの一部自由選択制が導入された2016年、ピレリはモナコGPのタイヤを発表する前に、第7戦カナダGPと、アゼルバイジャンで初開催される第8戦ヨーロッパGPのタイヤを発表していた。これはFIAが3種類のコンパウンドや義務タイヤをチームに知らせる期限が「ヨーロッパラウンドはグランプリの9週間前、フライアウェイは15週間前」という規則があるためだ。
なぜ、そんな規則になっているのか。ある関係者は「ピレリの輸送の関係だろう」と説明する。もしタイヤを、すべて航空便で輸送できるのなら、グランプリが開催される順番に発表していくことができるのだが、それでは輸送コストがかかりすぎてしまう。ヨーロッパラウンドはピレリのトランスポーター(トラック)で陸路搬送することができるが、フライアウェイには船便が利用される。つまりモナコのタイヤを送るよりも先に、カナダやアゼルバイジャンへ荷出ししなければならないため、発表の順番も逆になっているのである。
したがってウルトラソフトの投入が最初に発表されたのは、第7戦カナダGPだったが、初登場は、このたび発表された第6戦モナコGPとなる。
ちなみに上記のチーム関係者によれば、まだピレリは発表していないが、ウルトラソフトが投入されるグランプリはカナダGP以降にも2戦あるという。ひとつはレッドブルリンクで開催される第9戦オーストリアGPで、もうひとつは第15戦シンガポールGPだ。
このようにタイヤのアロケーション(割り当て)は、どんどん決まっていくが、開幕戦で問題となった予選フォーマットについての結論は、まだ出ていない。先日、グランプリドライバーズ協会(GPDA)がF1の体制を批判する声明を出したが、規則の迷走は続いている。