2016年03月24日 16:22 弁護士ドットコム
高市早苗総務相が2月上旬、「政治的に公平であること」を定めた放送法に反する放送を繰り返した場合、放送局の電波停止を命じる可能性に言及したことをめぐり、テレビで活躍するジャーナリストの田原総一朗さんや岸井成格さん、鳥越俊太郎さんらが3月24日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開いた。
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田原さん、岸井さん、鳥越さんのほか、大谷昭宏さん、青木理さんといった5人の著名なジャーナリストが会見に出席した。いずれも、テレビの報道番組のキャスターやコメンテーターとしておなじみの顔ぶれだ。田原さんたちは、高市大臣が2月8日の議院予算会議で、政治的公平性に欠く放送を繰り返した場合、放送局の電波停止を命じる可能性について述べたことを受けて、2月下旬に抗議声明を出していた。
毎日新聞の特別編集委員で、TBS系の報道番組「ニュース23」でメインキャスターをつとめる岸井さんは会見で、高市総務相の発言を「黙って聞き逃すことができない『暴言』だ」と切り捨てた。そのうえで、「憲法と放送法の精神・目的に真っ向から反することは明らかだ。知らなかったとすれば(高市総務相は)担当大臣として失格で、故意に曲解したのであれば、言論統制への布石だ。どこまでも責任を追及していく」と述べた。
岸井さんはさらに、「政権がおかしな方向にいったとき、チェックしたり、ブレーキをかけることがジャーナリズムの使命だ。その使命を果たさなけば、ジャーナリズムが死んだと同じ。その役割を果たしたことが偏向報道であるというならば、真っ向から対立せざるをえない」と語った。
テレビ朝日系の討論番組「朝まで生テレビ!」の司会で知られる田原さんは、高市総務大臣がなぜ「電波停止」に言及したかについて持論を展開。「安倍さんへのゴマすりじゃないか。もっと勘ぐれば、安倍さんが高市さん以外の女性を相当信頼している、と。だから、『私だって、こんなにやっているんだぞ』というのゴマすりのつもりで言ったんじゃないか。それ以外にほとんど理由らしいものがない」と話した。
さらに田原さんは、この3月に岸井さんが「ニュース23」のメインキャスターを降板したり、「報道ステーション」(テレビ朝日)の古舘伊知郎さんや「クローズアップ現代」の国谷裕子さんらが相次いで降板することに触れた。「高市発言がきっかけになったわけではないが、一種のマスコミの萎縮現象が起きていると捉えている」と分析した。
(弁護士ドットコムニュース)