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妊娠告げた2カ月後「協調性ない」とクビになった中国人女性が勝訴 「解雇無効」判決

2016年03月22日 18:42  弁護士ドットコム

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会社に妊娠を告げたら2カ月後に解雇されたとして、東京都内のカバン会社に勤めていた中国人の女性が、解雇の無効と未払い賃金の支払いを求めていた裁判で、東京地方裁判所は3月22日、解雇を無効とするとともに、未払い賃金(月給21万円×17カ月分)を支払うよう会社に命じる判決を出した。


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●解雇権の濫用にあたるとして「無効」と判断


勝訴判決を勝ち取ったのは、2004年に中国から来日し、2011年7月から東京都台東区のカバン製造・卸売り会社で、製造管理や営業サポートの仕事をしてきた30代の女性。判決文によると、この女性が2014年6月、妊娠3カ月だと社長に告げたところ、8月になって突然、社長から翌月末での「解雇」を言い渡された。



会社から告げられた解雇理由は、「協調性が無く、注意および指導しても改善の見込みがない」「会社の社員としての適格性がない」というものだった。しかし、女性はこのような解雇理由に全く心当たりがなく、2014年12月、解雇の無効などを求めて提訴した。



弁護団は、カバン会社の解雇は、妊娠を理由とする解雇を禁じた男女雇用機会均等法9条や、客観的に合理的な理由のない解雇を禁じた労働契約法16条に違反するとして、解雇の無効を主張していた。



東京地裁は労働契約法との関係についてのみ検討し、本件解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」から、解雇権の濫用にあたるとして、無効であると判断した。



判決後、女性とその代理人弁護士が東京・霞ヶ関の厚生労働省記者クラブで会見を開いた。代理人の指宿昭一弁護士は「勝たせてくれたことには感謝しているが、肩すかしをくらったような感じ」と述べた。「どうせなら踏み込んだ判断をして、妊娠後の解雇は慎重にしないと、使用者は均等法で判断されるんだということを社会にはっきり示してほしかった」。



女性は「不安はあるが、会社に復職したいと思っている。同僚ともうまくやっていく自信がある」と話していた。


(弁護士ドットコムニュース)