2016年03月20日 17:01 リアルサウンド
東京・豊洲PITで3月5日、『EXIT TUNES DANCE PARTY 2016-SOUND VOLTEX FLOOR ANTHEM & beatnation summit-』が開催された。
同イベントは、音楽ゲーム『BEMANI』シリーズで活躍する、<beatnation>所属アーティストや<beatnation RHYZE>所属アーティストのほか、『SOUND VOLTEX』の公募企画「SOUND VOLTEX FLOOR」の参加者から選ばれたアクトも登場するという、6時間に渡る一大ライブ。この模様は全国のアミューズメントパークでも、ライブビューイングという形で生中継された。
イベント冒頭では、『第2回天下一音ゲ祭・SOUND VOLTEX部門』の優勝者であるえつやと、『The 5th KONAMI Arcade Championship・SOUND VOLTEX部門』の優勝者・bollが『真・王者決定戦』と題して、sky_deltaの「REVOLVER」を課題曲に対決。互角の戦いだったが、中盤から徐々にリードを奪ったえつやが勝利を得た。。また、Codyが「もう一曲仕込みました」と語り、「2人ともクリアすれば全国の筐体で解禁する」という条件とともに「KAC 2013 ULTIMATE MEDLEY -HISTORIA SOUND VOLTEX- Emperor Side」をプレイさせると、2人は見事「AA」でクリアするという一幕も。
ライブは各パート2人~3人が曲をつなぎ合う“B2B(Back to Back)”形式で繰り広げられ、前半の『SOUND VOLTEX FLOOR ANTHEM』では、最初にt+pazoliteとC-Showによる“Lite Show Magic”が登場。1曲目「Crack Traxxxx」からハードに会場を盛り上げ、「Tomorrow perfume」ではdj TAKAがステージに上がり、観客も大きな歓声でこれに応えた。続くはるなばと“大福P”ことDaisuke Ohnumaのパートでは、「この曲をどうしてもEDPで掛けたかった!」(Daisuke Ohnuma)という叫びとともに「隅田川夏恋歌(I/O Angel mix)」が投下される一幕も。Team GrimoireとShiron、ke-jiとlapixなど、これからのシーンを背負っていく期待のアーティストが次々に会場を盛り上げたり、Hateとkarone、nora2rが「ボルテ体操第一」をドロップし、笑いが起こる場面もあった。
また、同人音楽シーンで高い人気を誇る<COOL&CREATE>の主宰・ビートまりおと<IOSYS>のARMが登場したパートでは、「Help me,ERINNNNNN!!」で大規模な「えーりん!」コール、ARMが作曲した“ひなビタ”こと日向美ビタースイーツ♪の「ちくわパフェだよ☆CKP」では「ちくパ!」コールが。そして「チルノのパーフェクトさんすう教室」では、ボーカルのmikoがサプライズで登場し、観客席から大歓声が巻き起こった。
『SOUND VOLTEX FLOOR ANTHEM』後半は、Yu AsahinaとMAD CHILDのパートからスタート。2曲目「Freeway Shuffle-More2 HAPPY Re-Mix-」ではdj TAKAが、「音楽-resolve-」ではwacがそれぞれ登場し、「カレクレンマ」「Voice 2 Voice」では、みかん汁がボーカルとして楽曲を歌い上げた。ここからginkiha、kamome sano、源屋、SOPHY、上村香月、かぼちゃ、Ayatsugu_Otowaらが次々に楽曲をプレイ。ボーカルとしてみゅい、Kuroa*、ぁゅがそれぞれの曲を熱唱した。そして、スクリーンに「こういうパーティーだからこれ!」と表示されたあと、SOUND VOLTEXのエフェクター(譜面製作者)であるHirayasu Matsudoが登場し、「Pet Peeve」を披露。『SOUND VOLTEX FLOOR ANTHEM』終盤に突入すると、cosMo@暴走Pが「For UltraPlayers」、黒魔が「大宇宙ステージ」で会場をさらに踊らせ、最後に登場したBlook Yは、「俺たちのアンセム行ってみようかー!」と「Max Burning!!」をドロップ。全員登場の「XROSS INFECTION」でイベント前半が終了した。
休憩を挟んでの後半『beatnation summit』は、P*Lightが「『beatnation』といったらこれでしょ! あとRyu☆さんベストアルバム発売おめでとう!」と叫び、Ryu☆の楽曲「Second Heaven(P*Light Remix)」からスタート。観客からは「Somebody scream!!!!」の大合唱が起こった。P*Light とPHQUASE、かめりあによるパフォーマンスが終わると、DJ YOSHITAKAが登場。「FLOWER」の一部が流れただけで大歓声が沸き起こると、「JOMANDA」などの人気曲をwacとともに立て続けに披露した。
その後、Sota Fujimori、TAG、DJ TOTTOが登場したターンでは、「ANDROMEDA-SF_2011Mix-」や「アルストロメリア(KURO-HACO Remix)」、「Valanga」などの人気曲を披露したほか、3人が「LIGHTNING THUNDERBOLT-Try to Sing Ver.-」でボーカルを取って歌うというシーンもみられた。猫又Masterは、ゲストボーカルとして霜月はるかを招いた1曲目「Element of SPADA」で観客を驚かせると、そこから「Journey」「サヨナラ・ヘヴン」でクールにパフォーマンス。その後はL.E.DとPrimが登場し、「それは花火のような恋」「轟け! 恋のビーンボール!」などのアッパーな楽曲で、会場の雰囲気を一変させた。
イベントが中盤に差し掛かったころ、スクリーンに「1999年に発表されたこの曲は、日本のハードコアテクノシーンを一変させた」という文字が映し出され、L.E.Dが「HELL SCAPER」を披露。ここでL.E.Dの同曲に憧れて音楽を始めたDJ TECHNORCHIがステージに登場し、彼の手によりアレンジされた「HELL SCAPER-Last Escape Remix-」を流し、2人はここからエモーショナルな雰囲気のまま、次々と楽曲をドロップした。パート最後の「真 地獄超特急 -HELL or HELL-」が終わると、「今日 すべての夢がかなった」「そして、今のDJ TECHNORCH君の存在そのものが、私が遥か昔に語ったささやかな夢を叶えてくれているんだよね」というテロップ(『beatmania IIDX 23 copula』の楽曲コメント)が読み上げられ、その後2人は熱い抱擁を交わし、涙する観客も多くみられた。
ライブ後半は、DJ YOSHITAKAとSota Fujimoriによるユニット・VENUSからスタート。「FUJIMORI-祭-FESTIVAL」や「Wow Wow VENUS」などで明るく会場を盛り上げると、「恋愛観測-VENUS Mix-」では原曲Ver.を歌うNU-KOと、PONが登場。NU-KOのボーカルで原曲らしさを見せながら、曲間に「High School Love」を挟むという「-VENUS Mix-」ならではの演出もみられた。
その後、SOUND HOLICやU1-ASAMIのプレイがあり、wacとPONがステージへ。wacが「付き合いの長い人を呼びましょう」と語り、常盤ゆうを呼び込むと、長い音楽ゲーム史のなかでも、トップクラスの人気曲「murmur twins」を披露。この光景に、感動を隠し切れないファンの姿が多くみられたが、この流れはまだ続く。同曲にいちリスナーとして強い感銘を受け、最新作で常盤をゲストボーカルに招聘したOSTER projectの「ラブラドライト」にも、彼女が登場。その光景に、先人が切り拓いた音楽ゲームという舞台とジャンルが、次世代へと託された瞬間を垣間見ることができた。
終盤に突入したライブは、HH×MM×ST から、Ryu☆、Dai、Mayumi Morinaga、Xceon(Starving Trancer)を加えた5人からスタート。彼らにとってユニット第一弾の楽曲「Follow Tomorrow」や、Ryu☆名義の「Din Don Dan」、『beatmania IIDX 23 copula』収録の「Everlasting Last」などを披露した。
本編ラストパートは、Ryu☆、dj TAKA、kors Kという『beatnation』の中心人物たち。まずは「The Wind of Gold」と「中華急行」のマッシュアップを披露したり、Ryu☆のリミックスコンテストで最優秀賞を受賞した、TAKU1175 feat.かなたんによる「Din Don Dan(Fusion Remix)」と、しーけーによる「The star in eclipse」を発表。そこから「Smooooch・∀・2014」や「ABSOLUTE(Ryu☆Remix)」、「I’m so Happy(STARLiGHT Remix)」と、次々に人気曲をプレイし、最後は3人にHH×MM×STを加えた「朧(dj TAKA Remix)」で締めくくった。
歓声に応えて行なわれたアンコール前には、スクリーンに『SOUND VOLTEX』の選曲画面が表示され、「She is my Wife」が選択されると、SUPER STAR 満-MITSURU-が登場。しかし、彼が歌いだそうとしたところで“すーぱーアイドル☆ミツル子”に出番を奪われ、そのまま全員が登場。ライブはエンディングを迎えた。
Ryu☆はステージ上で「みなさんの目が『次<beatnation>10周年じゃね?』という目をしている!」と語ると、dj TAKAも「次やりましょう!」とこれに応え、会場から歓声が上がった。また、DJ YOSHITAKAは「『SOUND VOLTEX』を作ってからの、一つの夢が叶った。ステージで『SOUND VOLTEX』のみなさんに囲まれて演奏する。TAKAさんと俺はね、これがやりたかったんだよ!」と熱くコメントし、この日のイベントは終了した。
同人音楽や動画サイト発の音楽など、様々なジャンルを飛び越えながら、クリエイターのプラットフォームとして機能し続ける音楽ゲーム。その歴史を作ってきた先人たちと、今後継承していくであろう若手が一堂に会した今回のイベントは、まだまだこのプラットフォームにポテンシャルがあることを証明したのではないか。
(取材・文=中村拓海)