2016年03月18日 11:22 弁護士ドットコム
集合住宅の暮らしで、トラブルになりがちなのが騒音問題です。Yomiuri Onlineの「発言小町」に「騒音を言いに行ったら『はぁ~?』と言われました」との投稿がありました。
夫と2人暮らしのトピ主さん。2人の子供は独立し、築45年の分譲マンションを賃貸で借りています。頭を悩ませているのが、上階からの騒音です。ある日は23時過ぎまで走り回る音が聞こえたため、トピ主さんの夫が訪ねると、子どもの親は「でも子どもって走るもんだからね」ーー。
その数日後にダンスのような大騒ぎが・・・。天井を棒で2回突いたそうです。すると翌日ポストに上階の住人から手紙が入っていました。しかし、その内容は「(注意を受けてから)子どもに注意するが、悲しそうな顔をして可哀想」「天井を突くのは威嚇行為になるのでやめるように」「苦情は全て管理人を通すこと」ーー。
理事会経由で注意をしてもらった上で、管理人の不在時には直接、苦情を伝えてもよいとの許可を得ました。ある日、午前6時過ぎから足音やジャンプがうるさかったため、注意に行くと「はぁ~?」と返されてしまったといい、発言小町にどうしたいいか? と、相談を寄せました。
レスには「上階の人は尋常じゃありませんから」との視点からの投稿が多く、同じように騒音で悩まされた方からの投稿もありました。中には「天井を叩き続けること1年、今では騒音も随分改善されました」という方、戸建てに引っ越した方からのアドバイスも寄せられました。
多くの方が悩まされているマンションの騒音問題。どのように解決をはかれるのでしょうか? 菊池 麻由子弁護士に聞きました。
(この質問は、発言小町に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部と弁護士ドットコムライフ編集部が再構成したものです。トピ「騒音を言いに行ったら「はぁ~?」と言われました」はこちらhttp://komachi.yomiuri.co.jp/t/2015/1220/744434.htm?g=15)
A. 「騒音測定器による音量の測定を」
騒音問題はマンションでよく起こるトラブルですが、まずは、当事者間で話し合いをすることから始めます。分譲マンションの場合には「管理組合」を通して話をすることも有効です。夜間~早朝や特定の時間は音を出すことを控えてもらうなど、双方の妥協点が見つかる場合があります。
しかし、トピ主さんはすでに当事者とも、管理組合との話し合いを経ても解決できなかったとのことです。
話し合いで解決できなかった場合には、調停や訴訟などの法的手続を利用することも考えられます。
過去の裁判例では、上階の子どもが走る、飛び跳ねるなどの騒音(50-65デシベルの騒音)により精神的な苦痛を受け、不眠などの症状が出たとして損害賠償が請求された事件で、騒音を出していた側に36万円の支払いが命じられました。
裁判をする際には、騒音が我慢の程度(「受忍限度」といいます。)を超えることを証明する証拠を準備する必要があります。証拠としては騒音測定器による音量の測定、レコーダーやビデオカメラによる撮影、騒音による健康被害があれば、医師による診断書も考えられます。
分譲マンションの場合、下の階の居住者のみならず、他の居住者の平穏・快適な生活を受忍限度を超えて妨害すれば「共同の利益を害する行為」として、法律上、管理組合(正確には他の区分所有者全員または管理組合法人)が当事者として行為の停止等の請求を行うことができます。
この他にも、マンションの規約・使用細則に基づく対応が可能な場合もあります。
なお「天井を突く」行為については、「下の階まで音が響いています」という意思表示のつもりでしょうが、この行為によって騒音が止む可能性は低く、むしろ紛争を大きくしかねない行為です。解決のためであれば、きちんと相手と対話することが必要です。
【取材協力弁護士】
菊池 麻由子(きくち・まゆこ)弁護士
東京弁護士会所属 平成15年10月弁護士登録
労働事件、家事事件、マンションに関する問題を中心に、広く一般民事事件を扱う。
事務所名:菊池法律事務所
事務所URL:http://www.kikuchi-law-office.com/