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スーパーGT初年度に挑むFIA-F4“卒業生”山田真之亮。「勉強しながら、そして楽しみながら」

2016年03月16日 17:11  AUTOSPORT web

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UPGARAGE BANDOH 86を駆り、スーパーGTに挑む山田真之亮
2016年のスーパーGT開幕まであとわずか。GT300クラスでも陣容がかなり固まってきたが、そのなかでも楽しみな存在が、昨年からスタートしたFIA-F4シリーズからステップアップしたドライバー、山田真之亮だ。

「サッカーでも野球でも、注目の若手が出たらガンガン取り上げられるじゃないですか。山田も取り上げてくださいよ」

 3月10日~11日に、鈴鹿サーキットで行われたスーパーGTメーカーテストのセッション終了直後、TEAM UPGARAGE BANDOHのピットに行くと、坂東正敬総監督が声をかけてきた。「そのつもりでこのピットに来たんですよ」と答えると、坂東総監督はニヤリとしながら、チームメイトとなる中山友貴と話していた山田を「取材だよ」と呼び出した。

「……僕ですか!?」

 少々驚きながら立ち上がった、スラリとした青年が山田真之亮。1992年岡山県生まれで、フォーミュラチャレンジ・ジャパンやスーパーFJに参戦。2013年にはFJ日本一決定戦で河野駿佑を破り優勝。2015年は、初年度だったFIA-F4にB-MAX Racing Teamから参戦し、オートポリスでの1勝を含むランキング4位を獲得した。

 そんな山田は2016年、FIA-F4“卒業生”としてただひとりスーパーGTにステップアップする。これまで山田はスーパー耐久にスポット参戦したことはあったが、フォーミュラでの活躍がメイン。すでに2月18日からの岡山テスト、そして鈴鹿と、二度UPGARAGE BANDOH 86をドライブしたが、初めてのJAF-GTマシンはどんな印象だったのだろうか。

「スーパー耐久にはスポットで参戦させていただいたことがあるんですが、マザーシャシーはコーナリングがものすごく速くて『ハコでこんな速度域で走るんだ!』と驚きました。S耐に乗った経験もあるので、余計感じたのかもしれませんね」と山田は言う。

 とはいえ、二度のテストともマザーシャシーの開発担当としてステアリングを握った土屋武士、チームメイトの中山とともにそつなくこなし、周囲からの評価も高い。山田自身も「最初は縮こまってしまう部分もあったのですが(苦笑)、皆さんに良くしていただいています。まずしっかりと自分の発言をしながら、チームとうまくコミュニケーションをとっていけたら」と周囲に支えられながら、リラックスしてデビューに向け準備が進められているようだ。

「中山選手はもともとSRS-F(鈴鹿サーキット・レーシングスクール・フォーミュラ)の大先輩だったんです。前から良くしていただいてて。すごくていねいにいろんなことを教えてくれて、いい環境を作ってくれています。今は本当にひとつひとつ勉強しながら、そして楽しみながら……というところですね」

 2015年のFIA-F4でしのぎを削った坪井翔や牧野任祐、大津弘樹は今季全日本F3に参戦する一方、GT300への参戦は山田のみ。ある意味、山田にかかるFIA-F4関係者やスーパーGT関係者の期待度は高い。そして「若いドライバーに夢を与え、新しいヒーローを誕生させたい」という坂東総監督の思いも山田にはかかっている。

 山田も「マサさん(坂東総監督)からは『チャンピオンを獲れ』と言われています」と、初年度とは言え目標を高く置く。

「このクルマが得意としているコースはもちろん勝ちを狙っていきますし、ちょっと苦手としている富士でも、レース距離が長いレースでは燃費もアドバンテージになってくると思う。そういったレースでも着実にポイントを獲っていきたいですね」

 GT500との駆け引きやタイヤの使い方、フォーミュラとは異なり性能差のあるマシン等々、山田がスーパーGTを勝ち抜くために学ぶことは多い。そんな過酷なGT300のなかで、昨年大いに評価を高めた松井孝允や富田竜一郎に次ぐニューヒーローとなり得るか。山田の戦いに、大いに注目しておきたい。