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「ネコノミクス」で空前の猫ブーム到来! でも、安易に動物を飼う風潮ってどうなの?

2016年03月16日 07:40  キャリコネニュース

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ここ最近になって、マスコミはしきりに猫の人気の高まりや、関連グッズの売り上げ増などを「ネコノミクス」特需として紹介している。これまでペットとしての主流は犬だったが、現在では猫の方が飼いやすいから、人気だというのだ。

僕はこれまでに、何頭も猫を飼ってきた。今も1頭の白猫と2人暮らしだ。確かに猫は可愛い。みんなが夢中になるのも分からなくはない。しかし、僕はペットに関連したブームについては、肯定的な立場ではない。マイナスのイメージばかり抱いてしまう。(文:松本ミゾレ)

かつての「熱帯魚ブーム」の後、川には外来魚が住み着く

日本がまだ今よりも好景気だった頃、熱帯魚ブームというものがあった。庶民でもそこそこの小金持ちだった家庭では、60センチ水槽にグッピーだとか、プラティなんかをたくさん泳がせていた。

金持ちは120センチ水槽をベアタンクにして、大きなアロワナなんかに大枚はたいている時代があった。けれど熱帯魚ブームは、生き物を飼う責任感のない人々に、インテリア感覚での飼育を許していた一面がある。

不景気になって以降、熱帯魚の専門誌や月刊誌は次々に廃刊となり、熱帯魚に興味を失った一部の飼育者は、そこらへんの川に放流していった。今では多摩川をはじめとした日本各地に、捨てられた熱帯魚が繁殖したものとされる外来種が根付き、生態系を狂わせている。

ポメラニアンやチワワなどの小型犬ブームも、これまでに何度か巻き起こって、ペットショップやブリーダーは人気の犬種を次々に交配させ、売り出した。けれどそのブームは、常にせいぜい数年で終息する。

悪徳ブリーダーになると、劣悪な環境でひたすら交配を強いる虐待を繰り返し、犬に運動すらさせないというケースもあった。こうした悪徳ブリーダーは今でも存在する。

猫に関しても、品種を重んじる消費者は多い。本来ペットは家族の一員。そんなかけがえのない存在を迎え入れるのに、血統だの品種だのにこだわるなんてナンセンスだ。この国のペットショップでは、狭っ苦しいケージに押し込んだ犬猫を、大勢で「可愛い~」とか言いながらスマホでパシャパシャやっているけれど、あんなに残酷な光景はない。

処分まで残り僅かな時間を過ごし、貰い手が現れれば命を繋ぎとめることの出来る犬や猫が、保健所に大勢いるのに。

猫と暮らす資格がない人間によって増える不幸な猫たち

お金を出せば買える。その価値観で命をやりとりするというのは、何となく嫌なものだ。しかし、需要がある以上、こういう販売形態がなくなることはない。だったらお金を出して大切な命を預かった分、せめて大切に育ててほしいんだけど、これすら現状では叶わない。

ブームだから。可愛いから。それだけの理由で、飼育能力のない人に育てられるペットは少なくない。餌も水も与えず、糞の始末すらしない。病気でじっとしているのに「寝てるんだ」と勘違いして病院にも連れていかない。こんなペットを飼い殺しにしている人が、悲しいことにたくさんいる。

また、手に余ったら無責任にもペットを保健所に連れて行く飼い主もいる。保健所でペットがどうなるかは分かっているくせに、その始末を職員に任せて逃げ去るのだ。

テレビで「○○がブームです」なんて言うと、その消費は必ず伸びる。しかし、メディアに煽られて消費者が手にするものが、必ずしもその人にとって必要なものだったり、手にするに相応しいものというわけではない。ペット関連のブームが終わった後に待っているのは、いつだって罪のないペットたちの悲しい最期だ。

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