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ロート製薬正社員1500人「兼業OK」に――他の企業が導入するときのポイントは?

2016年03月13日 12:42  弁護士ドットコム

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目薬のロート製薬は2月24日、国内の正社員約1500人を対象に、ほかの会社やNPOなどで働く兼業(副職)を認める制度を4月から始めると発表した。


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「社外チャレンジワーク」と名付けた制度で、就業先を届け出て会社から許可を得ると、平日の終業後や土日祝日に他社で働き、収入を得ることができる。会社の枠を超えて技能や人脈を培ってもらい、視野の広い人材を育成することが狙いだという。



こうした兼業を認める取り組みを弁護士はどう考えているのだろうか。他の企業が導入する場合、どのような点がポイントになるのか。近藤麻紀弁護士に聞いた。



●自社業務の支障や、職場の秩序への影響、会社と競業するかどうか


「就業時間外の時間は本来、労働者が私的な時間として自由に使える時間であり、兼業もできるはずですが、就業規則の服務規定などで、許可のない兼業を認めない会社は多いです」



近藤弁護士はこのように述べる。業務時間外の時間の使い方は、労働者の自由とも思えるが、そうした規則はどう考えればいいのか。



「裁判例では、そのような制約は、(1)労務提供への支障(休養を取れず自社での業務に支障がないか)、(2)会社の職場秩序を乱したり信用等を害したりするか、(3)会社との競業や経営上の秘密の漏洩の可能性、といった点から、必要がある場合に限定して認めています。



報道発表資料によれば、ロート製薬でも、兼業を無条件で認めるわけではないようです。ただ、これまで多くの会社では、さきほど述べたような服務規定で、兼業を容易に認めない姿勢が示されてきました。



こうしたことと比較すると、兼業のメリットを積極的に認め、社員が兼業しやすい環境を制度として整えたという点で注目に値すると思います。



兼業を積極的に認める制度を導入する場合でも、さきほどの(1)~(3)の点からの制約は必要だろうと思います。事前申請による許可制とし、自社での業務に支障があれば、許可を取り消す制度としておく必要はあると思われます。



ただ、兼業状況は社員の申告内容を前提に把握・判断せざるを得ないことも多く、たとえば上記(1)の『労務提供への支障』という点は、兼業したから自社の業務に支障が生じたと容易に判断できる場合も多くはないと思います。



制度の導入に際しては、運用の際に判断に迷う可能性のある場合も想定した上で、そのような場合の対応方針(許可条件をより具体的に決めるか、個別に対応するかなど)も含めて検討する必要があると思います」



近藤弁護士はこのように分析していた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
近藤 麻紀(こんどう・まき)弁護士
2000年4月に弁護士登録。法律事務所と地方公共団体での勤務を経て、弁護士法人ベリーベスト法律事務所に入所。使用者側の人事・労務分野に関する相談・交渉・裁判対応を含む企業法務案件に従事する。
事務所名:弁護士法人ベリーベスト法律事務所
事務所URL:https://www.vbest.jp/