東京都区部でのタクシー初乗り運賃は、現在2キロで730円。これが訪日外国人には「高すぎる」と不評だ。ニューヨーク(320メートル280円)やロンドン(260メートル390円)と比べてメートルあたりでは安いが、短い距離では割高になり気軽に使いにくい。
そこで国土交通省は、今年1月に第一回を開催した「新しいタクシーのあり方検討会」で、初乗り運賃の引き下げを検討。3月10日放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)がタクシーをめぐる現状を伝えていた。
外国人観光客「ノーノーノー、値段が高すぎる!」
番組は東京都内で、外国人観光客に日本のタクシーを利用したかインタビュー。フランス人は「ノーノーノー、値段が高すぎる! 地下鉄しか乗らないよ」とキッパリ。ドイツ人は「2キロのために高すぎる」とにべもない。
いまあがっている案は「880メートルで370円」と「1.16キロメートルで460円」の2つ。いずれも2キロ走れば、現在の水準に到達する計算となる。これで訪日外国人客や高齢者の利用拡大をねらうが、すばる交通(東京・足立)の田中敬子副社長は懐疑的だ。
「需要が増えるという事業者と、そんなに増えないと考える事業者もいる。どういうメリット・デメリットがあるのか、事業者同士で考えることが必要」
国交省は今後参加するタクシー事業者を募り、今年の夏にも東京で実証実験をスタートさせる方針だ。視聴者からはネットに歓迎する声もあがっており、やはり「海外に比べて高すぎる、もっと安くしてほしい」という意見が多い。
「距離が短くても初乗り運賃が安くなれば、もっとタクシー乗るかも」
「サラリーマンも気軽に乗れるから、終電以降も夜の街が賑わったりして良いと思う」
しかし海外で暮らしていた人は「日本のタクシーは高いが、欧米はタクシーでもチップ渡さないといけない。どっちがいい?」と、実際にかかるトータルコストで比較しなければ意味がないと指摘している。
ホリエモンは規制緩和を支持「世界中でUber-X使ってる」
ニューヨークやロンドンの初乗り距離が数百メートルと短すぎるとして、「なんでもかんでも欧米の基準に合わせることが正しいわけじゃあないだろ?」と疑問を呈す人がいる一方で、欧米で実現しているサービスを日本でも、という声もある。
「(初乗り料金など)どうでもええから、Uber(ウーバー)を規制緩和せんかいな」
厳密にいうと、米国生まれの配車サービス「Uber」は、すでに日本でもハイヤーとタクシーで運用されている。しかし自家用車配車サービス「Uber-X」は、規制の壁に阻まれ実現していない。
政府は「国家戦略特区」の新たな規制緩和策として、自家用車での観光客の送迎サービスを打ち出しているが、これが「Uber-X」を認めることにつながるとして、全国のタクシー運転手が3月8日に東京で大規模なデモを行っている。
このデモには、ホリエモンこと堀江貴文氏が不満をあらわに。ツイッターで「加齢臭、歯周病での口臭、道知らない、カーナビ使えない、横柄みたいなタクシー運転手ばかり」とサービスの悪さを激しく批判。さらに、こう規制緩和を支持した。
「世界中でuber-x使ってるけどそんな(危険行為をする)奴1人もあった事ない」
自動運転のロボットタクシー技術の開発も進んでいる。初乗りの問題だけでなく日本のタクシー業界は、根本的な経営見直しが迫られているのかもしれない。(ライター:okei)
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