ウイリアムズの出資者ブラッド・ホリンガーが、アメリカ市場の潜在的可能性を引き出すためにF1のリーダーたちは協調して努力すべきだと語った。
アメリカ人のホリンガーは、先日トト・ウォルフが最後まで保有していたウイリアムズの株式5%を買い取り、持ち株比率を15%としてウイリアムズの第2位株主となった。ヘルスケア関連事業の起業家である彼は、今季ハースがデビューすることによりアメリカでもF1への関心が高まると確信する一方で、もっとやるべきことがあるとも感じているという。実際、今年のオースティンでのレースは、今週水曜にようやく開催が確定するというありさまだった。
「現在(アメリカで)F1はかなり注目されている」とホリンガーは言う。
「F1は変革の時代を迎えていて、国際的に大きな成長の機会があるが、とくにアメリカでは成長の余地が大きい。アメリカであまり浸透していないにもかかわらず、F1が世界的な成功を収めてきたことを考えれば、今後の可能性には大いに期待できる。アメリカには未開発の膨大なチャンスがあるということだ」
「言うまでもなく、アメリカ国籍のチームがグリッドに並ぶことで、この国でも媒体露出が増えていくに違いない。これはF1がアメリカで久々に起きた飛躍的前進と言える。これにより、多国籍企業の多くにとって重要な市場であり、潜在的視聴者数も多いアメリカへのF1の浸透が加速されると思う」
また、彼はアメリカ東海岸でのレース開催、あるいは西海岸でのイベントの復活が待ち望まれるとも語っている。この両地域には「きわめて大きな人口基盤」があるからだ。
「2~3年前に構想があったニューヨーク近郊や、ロサンゼルス地域でもレースができれば、強力なカンフル剤として作用するだろう。だが、依然として未開発の機会があるので、F1のリーダーたちがアメリカ市場への浸透を目指して、これまで以上に協調した取り組みをしてくれることを期待する」
自身がF1への関与を深めていることもあり、ホリンガーはそうしたイベントの開催を実現するためなら、よろこんで手を貸すつもりでいるようだ。
「大規模なスポーツイベントのスポンサーになった経験はないが、どのような形であれ、私にできることであればよろこんで協力したい。ウイリアムズ・チームだけに限らずF1プログラム全体に関して、もし求められれば積極的にサポートしたいと思っている」
ホリンガーは、機会さえあれば、さらにウイリアムズの株式を買い増す可能性も否定していない。ただ、ウイリアムズのCEOマイク・オドリスコルによると、株式の52%強を保有し、さらに4%弱を従業員信託として持っているサー・フランク・ウイリアムズには「支配権を手放すつもりはまったくない」という。
他の方法を通じてホリンガーが持ち株比率を高めることは可能だ。しかし、フランクフルト証券取引所で売買されているのは全体の21%以下にすぎず、9%強はウイリアムズの共同創立者サー・パトリック・ヘッドが保有している。